先日もお伝えしましたが、今年は関東大震災が発生したちょうど100年という区切りの年。
NHKでは本放送で9月2日、3日、4日と3日連続でこの関東大震災に関係するNHKスペシャルを放映しました。
9月2日 NHKスペシャル 映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間 前編
9月3日 NHKスペシャル 映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間 後編
9月4日 映像の世紀バタフライエフェクト 関東大震災 復興から太平洋戦争への18年
当時を知らない1人として、とても見ごたえのある内容でした。
「NHKスペシャル 映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間」は、当時の様子を記録した動画を分析して高精細にし、さらにカラー化した映像を披露しています。
そして高精細化かつカラー化した映像から、さらに専門家が撮影時間と場所を特定し、映像の資料価値がぐっとあがりました。
実際にオリジナルの画像に比べて、かなりリアリティ感が伝わってきて、当時の凄まじさがより伝わってくる感覚になりました。
前編で「なぜ火災は広がったのか」、後編で「なぜ広場で多くの人が亡くなったのか」ということを科学的に検証し再現実験を通じて、火災の恐ろしさを具体的に説明してくれています。
この再現実験がとてもわかり易く、関東大震災当日台風がきていたという不運が重なったことが被害をより大きくしたことを示しています。
また、後編では2日目以降の恐怖と一筋の光、に言及しています。終わっていなかった火災と、緊張の極限におけるデマの横行。しかしそこから立ち直る過程で自然発生的に広がった助け合い。
東日本大震災のときに、比較的内陸側にお住まいの事業所の方々が、地元の米や農産物をもって炊き出しにきてくれていたことを思い出します。
そして3日目の「映像の世紀バタフライエフェクト 関東大震災 復興から太平洋戦争への18年」では、視点がかわり、1人の無線技師が世界中から多くの義援金を集めるきっかけを作ってくれたことと、関東大震災が皮肉にもその後の軍国主義に向かっていったのではないか、という見解について語られています。
震災当時はラジオがなかった時代。地震後に電気系統が機能しなくなったことに危機感を感じた横浜にいた1人の無線技師が、英語で無線を通じて大きな地震が起こったことを打電したそうです。
それが太平洋を渡ってアメリカに届き、中国進出を目論む日本に警戒をしていたのですが、義援金を募る活動につながり、それをきっかけにヨーロッパにも広がって当時の額で1,000万円も集まったそうです。
これは当時の日本にとって国家予算(14億円)の7%にもなるわけで、大きな復興の助けになったことは間違いありません。
これを機に無線技術の開発を急がせ、ついにラジオが開局されるようになります。
一方、関東大震災で治安に力を発揮したのが、当時軍縮によって存在感が小さくなりつつあった軍。
スタートしたラジオ放送、この頃に始まったラジオ体操などいろいろな要素をうまく利用して、ひたひたと軍国主義国家にむかっていく過程が描かれています。
人は歴史に学ぶところが多くあると思います。
中身の濃い、そして私自身学びの多いこの3日間の番組でした。
NHKスペシャルはYoutubeでもその一部がNHKによって投稿されています。
放映後1週間はNHKプラスでも視聴できます。