最近はなかなか録画したビデオを観る時間がとれないのですが、実家においてあるHDDレコーダーで放送があると録画される番組の一つが「映像の世紀プレミアム」。
(画像:NHKホームページより引用)
NHKが1995年〜1996年にかけて放送した「映像の世紀」が時系列で100余年の映像を紹介した番組でしたが、2016年からテーマごとに再編集して未公開映像も交えて90分枠で放送しているのが、この「映像の世紀プレミアム」です。
先月に第18集が放送されました。
2019年3月に放送された第12集「昭和 激動の宰相たち」がたまたま週末再放送されていて、自動で録画されていたものを何気なく観ていました。
チャップリン来日翌日に、チャップリンと会う予定だった犬養毅首相が5.15事件で暗殺され、4年後に来日したときは2.26事件に出会うという、日本のクーデター事件に二度も遭遇するという奇遇から始まり、近衛文麿、吉田茂、岸信介といった人物を中心に、日本の政治の舵取りがどうなされてきたのか、を映像を通じて紹介していました。
これはこれでなかなか見応えがある番組です。
第1集からずっと録画してあって時間のあるときにまとめ観をしたりしていたこの「映像の世紀プレミアム」。
昭和の宰相の映像をみて他の回も観てみたくなり、タイトルをながめていたら昨年9月に放送された第17集のタイトルに目がいき、それを観ることに。
「人類の危機」
物騒なタイトルです。
番組は世界第一次大戦から始まります。
このときに人類を襲った危機、それは「スペイン風邪」。
いわゆるインフルエンザです。
当時世界人口が18〜20億人と言われていた中で、患者数は5億人、死亡者は4,000万人を超えると推定されています。
世界の3分の1が罹患したわけです。
今なら70億人いますから21億人が罹患するようなもの。
第一次世界大戦は、約7000万人の兵士が動員され、戦闘員900万人、非戦闘員700万人が推定死亡数といわれています。
戦争よりはるかに多い人数がインフルエンザに罹患し亡くなっていたのです。
ちなみに、日本では感染者数2380万人、死亡者約39万人が内務省衛生局編『流行性感冒』(大正11年/1922年)による統計数値だそうです。
死亡率は1.63%。
数字の規模は今のアメリカ合衆国のCOVID19の状況に似ています。
番組によると、このインフルエンザは、3年余感染が続いたあと、集団免疫状態になって鎮火したようです。
戦争以上に多くの命を奪ったウイルス。
今のコロナにも通じるところがありますが、当時よりも遥かに技術が発達してきたおかげでここまでひどい状況にはならずにすみそうです。
今回では他に人類の危機となった事例として
- 世界恐慌(1929年、一瞬にして株価が暴落した経済危機)
- キューバ危機(1962年、世界で核戦争一歩手前まできた米ソ間の緊張)
- ピナツボ火山の大爆発(1991年に発生した20世紀最大の火山噴火。火山灰が成層圏に達し地球の温度が0.5℃下がった)
- チェルノブイリ原発の大爆発(1986年旧ソ連ウクライナ共和国で発生した、最大の原発事故)
といった事件が紹介されています。
ピナツボ火山を除くと、どれも人間によるオペレーションの影響が多分に関わっているのが特徴。
キューバ危機は米ソの主導権争いが原因。
チェルノブイリは直接的には作業ミスが原因とされているが、原子力発電所のシステムのバグや対応のまずさなど様々な人的要因が絡んでいると言われています。
インフルエンザは、当時全く治療薬もワクチンもないウイルスによる感染症だった(まるで今のコロナウイルスのよう)にも関わらず、戦争のため兵士が動いて世界中にばらまくという行動をした結果、世界の3分の1が罹患し、数%が亡くなるという悲劇になったわけです。
人間の持つ怖さを何か感じざるをえません。
映像の記録が始まってまだ100余年。
時代を記録するツールとして、ものすごい情報をもっているツールだな、ということをこの番組は教えてくれる気がします。
映像の世紀デジタル版、映像の世紀プレミアムはNHKオンデマンドでも全部残していないんですね。
実家にあるHDDに録画したまま残しているのですが、これらはしばらく消さずに残しておこうかな(^^)