(画像:NHKのホームページより引用)
NHKのBSで放送されているドキュメンタリー番組「新・映像の世紀」の再放送が6月から始まりました。
東京だと毎週月曜日の18時前後(17時45分だったり18時10分だったりしてまちまちです)に放映されています。
「映像の世紀」は、第二次世界大戦の戦後50周年とNHKの放送開始70周年、そして映像発明100周年記念番組と銘打たれて制作・放送されたドキュメンタリー番組で1995年に全11集のシリーズで放映されたものです。
その後2015年に「新・映像の世紀」、2016年に「映像の世紀プレミアム」としてシリーズで放送されてきた人気番組です。
今放送されている「新・映像の世紀」は2015年の再放送。
最近はいろいろと「言葉のちから」というフレーズを耳にすることが多いですね。
私のたくさんのブロガーの方たちが書かれているブログを拝見して、感銘を受け、言葉のもつ力を日々感じている一人です。
一方、映像は映像でこれも強烈なメッセージを我々に提供してきます。
私はこうしてブログを書いておりますが、決して文章を書くのが得意ではなく、小さい頃から国語と社会と英語はずっと苦手だったので、個人的には映像からうける影響はとても大きいです。
映像の記録は、この映像の世紀シリーズでは第一次世界大戦前後あたりから始まります。
この映像の記録をみると今の世の中で起きている紛争の起点がここにあったのか、という印象を感じさせます。
第一次世界大戦で中東を支配していたオスマン・トルコ帝国をなんとかしたいイギリスは、反乱軍を決起させるべくスパイを送り込みます。
このスパイがアラビアのロレンスで有名なトーマス・エドワード・ローレンス。
オスマン帝国を倒した後は反乱軍の政府樹立を支援するといいながら、裏切ってイギリスとフランスで利権(石油)を分け合います。
そしてユダヤ人にパレスチナの領土を使っていいとして、彼らの入植を勝手に進めていきます。
ここに欧米の中東地域における石油利権の侵略が始まり、欧米vs中東の構図が形作られるんです。
1951年に国民の支持を背景にモサデックが首相となり、欧米に握られていた石油施設を国有化して中東に利権を取り戻そうとしますが、CIA、イギリス秘密情報部が中心となってこのモサデックを失脚させます。
そして傀儡政権として祭り上げられたのがパーレビ国王。
権力を掌握して欧米、イスラエルの支援をうけて親欧米政権を運営します。
しかし国民の生活では及びもつかない贅沢ぶりもあり、イラン国民の怒りが膨れ上がり、ついに起きたのがイラン革命。
アメリカ大使館人質事件が起きたのはこの直後です。
アフガン政権に対抗するゲリラをアメリカが武器供給で支援していましたが、その時のゲリラの指導者の1人があのウサマ・ビンラディンです。
中東の自分たちの利権の巣窟にしようと暗躍してきた一部の欧米諸国が、今の中東の終わらない紛争の火種をつくった印象を受けます。
まだ第一次世界大戦の戦後処理で、敗戦国ドイツからの賠償金はしっかりとるべきと主張する欧州各国に対し、当時のアメリカ大統領ウィルソンは抑えるべきと主張していたそうです。
ところがそこに異を唱えたのがウォール街の実力者モルガン。
あのモルガン・スタンレーのモルガンです。
戦争に投入した資金を回収したいがゆえに多額な賠償金(ドイツ国家予算の20年分)を課す方向にぐっと舵を切らせたんですね。
この結果ドイツの経済が困窮し、救世主を求めた国民はヒトラーを支持するようになっていきます。
このような歴史の流れを映像とともに観るのはなかなか迫力があります。
人のエゴの恐ろしさと罪を感じさせられます。