48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読後感想〜「モモ」

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モモ (岩波少年文庫(127))

 

 友人の勧めをうけて読んだ本書。

 

1973年にイタリアにすんでいたドイツ人作家ミヒャエル・エンデによる作品です。

 

 

 

私はこの本がどんな本なのかを紹介するのに、訳者である大島かおり氏があとがきにしたこの文章がもっとも適していると思います。

 

 

 

〜この本には、探偵小説のようなスリルと、空想家科学小説的なファンタジーと、時代へのするどい風刺があふれています。

 

そしてその全体は、ロマン主義的な純粋な詩的夢幻の世界、深くゆたかな人生の真実を告知する童話(メールヘン)の世界の中に、すっぽりとつつみこまれています。

 

内容的には、おとなに子どもにもかかわる現代社会の大きな問題をとりあげ、その病根を痛烈に批判しながら、それをこのようにたのしく、うつくしい幻想的な童話の形式にまとめることに成功した点に、この本の画期的意義があります。〜

 

(以上「モモ 訳者あとがき より抜粋)

 

 

 

この本を読んで私は正直驚愕しました。

 

時間に追われて効率を重視し資産を形成した大人たちが子どもたちの夢をつぶしていく過程を見事に物語にして語ってくれています。

 

そしてその風景が、1973年の刊行からもう45年以上もたつというのに、今の社会にも当てはまるところ少なくないことに驚きを禁じえません。

 

 

 

「時間を無駄にするな」そんな「灰色の男たち」として登場する悪魔の囁きから物語は急転していきます。

 

社会でよく耳にするこの言葉。「時間を無駄にするな」・・・

 

 

 

無駄にしないために、単位時間あたりのアウトプットをあげようと「効率化」を図ることを灰色の男たちは「時間の貯金」という形で勧めてきます。

 

これも企業では金言のごとく扱われる「効率をあげろ」司令・・・

 

 

 

そして時間を貯金した大人たちは「時間がない、時間がない」といいながらいそいそと仕事をします。

 

仕事をしないと「時間を無駄にする」すなわち「効率がさがり、時間貯金ができない」のです。

 

だからだんだんと大人はぶっきらぼうになり、怒りっぽくなっていきます。

 

 

 

子どもたちは大人の邪魔になるからといって、「子どもの家」という施設に集められます。

 

「子どもの家」からは自由に出入りすることはできません。

 

「隔離」されるのです。

 

子どもたちは夢を語ることをやめてしまいました。。。

 

 

 

そんな世界に主人公モモが立ち向かいます。

 

 

 

内容はネタバレになるのでこの辺にしておいて、この描写がそっくりちょっと前までの現代社会そのものだったように見えて仕方ありません。

 

仕事最優先、家族との時間は二の次、ましてや子どもとは話す時間さえない、お金をもらって出世することが最大の評価、子どもは塾や稽古事に放り投げ、何かれば学校や塾、稽古場を責め立てる・・・

 

そんな人達の口癖は「時間がない」「時間がない」。

 

あ〜、そんな言葉をよく口にしていたなぁ。。。

 

今だからふと思えることは「何に怯えていたんだろう」ということ。

 

上司に怒られること?

 

目標に到達できないこと?

 

周りの評価が下がること?

 

給料が下がること?

 

いろんなことに怯えていたんだなぁと思います。

 

そして取り憑かれたように「なんとかしなきゃ」って一心不乱に動いていたのかも。

 

 

 

何度かここでも紹介しましたが、私が会社を辞められたのは、敬愛する友人が「リスクはないのかって?死ななきゃリスクじゃないよ(笑)」と言ってくれた言葉が背中を押してくれたんです。

 

だから、なにか問題に出くわしたときに「これがだめなら死んじゃうかな」と自問します(^^)

 

大抵は「いや死なないな」と。

 

「じゃあ、しばらくしたら死ぬかな?」と更に自問。

 

「しばらくしたらいろんな変化が起こるからわからんね」が結論(笑)

 

「じゃ、ジタバタしてもしかたないね」と冷静になれるようになりました。

 

 

 

「モモ」は時間に囚われてまさに「灰色のおとこに時間貯金をしていた」時代が自分にもあったことを思い出させてくれました。

 

そして比較的今の自分は「モモ」に近いかなぁ、と思ったりもします。

 

でも「モモ」は「灰色のおとこに時間貯金をしている」人達からすると変人。

 

もしかしてそう見られているのかもしれないなぁ(^^)

 

あ、それならそれでいいか(^^)