今回の読書会の課題図書はこちら「『その日暮らし』の人類学」でした。
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)
実は読書会の前日にしこたま飲みすぎて(ちゃんと水をたくさん飲んでいたんですが・・・)、本人びっくりまさかの二日酔いで欠席・・・
おかしい・・・
この1週間で3回も二日酔いの症状を経験している・・・
なんかお酒に弱くなってきたかな。
ちょっと気をつけよう。。。
さてこの本でよくでてくる言葉が「Living for Today」すなわち、「今日のために生きる」です。
本のタイトルにある「その日暮らし」を英語で表現したものですが、文中ではこちらが使われています。
それともう一つのキーワードが「インフォーマル経済」すなわち「非公式な経済」です。
どういうことかというと、まあ、違法コピーとか偽造品といったものが経済の一翼を担っている、ということです。
日本で生活をしていると「違法」なものは基本「ダメ」が当たり前の感覚になってきましたね。
ソフトの違法コピーやダウンロードは処罰の対象になります。
なぜならそういう「ルール(法律)」が制定されていて、それをもって正悪の判断をするからです。
ところが、著者が研究しているタンザニアではちょっと様子が異なります。
違法コピーでも、偽物でもわかっていてそれを売買することに罪悪感がないのです。
「合法的」であることと「許容できる」ということはかならずしも一致しない、ということを中国人との付き合いを引き合いに紹介してくれています。
そしてタンザニアでは会社勤めする人より圧倒的に零細な行商人が多いそうです。
彼らは自分たちで物を仕入れて自分たちで販売するという、完全なワンストップオペレーションをしています。
そしてどんどん職を変えていくので専門性が育たない(^^)
貸したお金は戻ってこないことがよくあり、貸した方も取り立てたりしない。
ルールと権利という枠の中での生活に慣れている我々にとって見ると、アナーキーな世界だったりします。
これが成り立っているんですね。
でも実はこの仕組み、日本も無縁ではないと感じます。
戦後直後の闇市はまさに非合法な市場でしたが、当時の経済と生活を下支えしていました。
長屋では向こう三軒両隣で、調味料や食材を分け合うことはよくあったわけで、そこに「貸し借り」ほどの概念はなかったと思われます。
著者は「一部の人達に富が集中する仕組みが資本主義(著者は「主流は社会」と表現しています)であるのに対し、インフォーマル経済は新しい人類文明を切り開く可能性を持っている」という見解を持っています。
私自身、変化の激しい現代で数年後の姿を予測することはとても自分には無理だと思っていて(^^;;
今を大事に、という点ではLiving for Today的な生き方をしているかもしれません。
とはいってもまったく先のことを考えないか、というとそうでもなく、明日につながることを期待して今日を大切にしている、という感じでしょうか。
なので「その日暮らし」とはちょっと違う立ち位置だとは思っています。
それでも、貸し借りの感覚やルールと許容範囲の関係については、私が目指しているシェアハウスライフと共通なところがあるような気がします。
私が運営しているシェアハウスでは「ルールを作るよりもできるだけマナーでカバー」できるような関係性を目指しています。
つまり、ルールで善悪のラインを引くのではなく、状況に応じてそのラインが変わる許容性をもたせるということです。
例えば洗濯機の利用について。
ルールで設定するなら、「夜12時には終わらせること」と設定をすれば、夜12時を過ぎでも使っている人に注意をし、守らせるという管理をすることになります。
そうではなく、「他の人に迷惑にならないように、そしてできるだけ夜中の利用は控えましょう」とマナーに訴えるのが私のやり方。
状況によってはどうしても夜12時すぎて使わないといけなくなることもあるでしょう。
他の人が「大丈夫」と許容してくれれば使ってもいいよね、ということ。
片付けにしても全員がやるとは限らないんですね。
人によって片付けをやってくれたり、靴を整理してくれたり、ゴミをだしてくれたり、調理手伝ってくれたり、とちょっとずついろいろなことに関わってくれて、その集まりでライフスタイルがほどよくストレスレスで保たれる、そんな面があるんじゃないかなぁ、と。
なので私はルールで白黒するのではなく、そのルールあたりに思いっきりグレーゾーンを作って、そのグレーゾーンの中で対処するような管理を目指しています。
このやり方はどこでもOKというわけにはいきません(^^)
価値観、生活習慣が異なる人達が集まるわけですから、ルール化が必要なところもあります。
それはどんな人達が住むかによって全然変わってきます。
ちょっとLiving for Today的な要素があるのかなぁ(^^)
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)