(画像:映画.comの「ファウンダー」のページから引用)
2016年に発表された映画。
主役のマイケル・キートンは、先日観た「スポットライト 世紀のスクープ」に出演していました。
「スポットライト」では実に冷静で実直なジャーナリストを演じておりましたが、今回は、いかにも”アメリカの企業家”という役柄で、だいぶ印象が違いました(^^)
さてさて、あのマクドナルドのスタートアップから全国展開するまで、マクドナルドコーポレーションの創業者であるレイ・クロックの生き様を描いたドキュメンタリー的な映画です。
さてこのレイ・クロックなる人物はどんな人物か。
17歳と若くしてビジネスの世界に飛び込むがパットしない事業を起こしてはたたむような状況で、52歳のときにマクドナルド兄弟と出会います。
この兄弟が生み出したオペレーションシステムをフランチャイズにしようと持ちかけ、カルフォルニアなどで数店舗だったマクドナルドの店を全米、世界数カ国に展開し、マクドナルドを世界的な企業にした人物です。
マクドナルド兄弟から商権を買取り、生涯で5億ドルの資産をつくりあげたとか。
1974年には大リーグのパドレスのオーナーにもなった立身出世のアメリカンドリームを体現した人物で、ファストリテーリングの柳井氏やソフトバンクの孫氏がリスペクトしているらしい(注:映画.comに記載)。
この映画によるレイ・クロック氏に対する評価は賛否両論だそうです。
そりゃそうだろうなぁ(^^)
まず彼のすごいところをあげてみよう
- 52歳という年齢にも関わらずマクドナルドのフランチャイズ化を一からやろうとしたバイタリティ
- 一代で全米、世界34カ国に展開した行動力
- マクドナルド兄弟が作ったオペレーションシステムの価値を見抜いた眼力
- ハンバーガーを売っているのだが実態は不動産業としての事業構造を作った慧眼
- 60過ぎてから2度の離婚と2度の結婚をしていること(笑)
では気に食わなかった(私個人的に)ところをあげてみよう
- オリジナルであるマクドナルド兄弟への敬意がなかったこと
- 事業目的が利益追求にあること
- 自己中心であること
- 約束を反故にしたこと(注:マクドナルド兄弟から商権を買う際「今後チェーンの売上の1%をマクドナルド兄弟に支払うこと」を契約書に記載せず口約束として、結局その約束を果たさなかった)
映画の中では、マクドナルド兄弟には愛情を感じますが、レイ・クロックには全く感じることはありませんでした(^^)
手段を選ばず金を稼ぎ、その金を武器にして力を誇示する、そういうタイプの人間にみえてしまったんですね。
一方でこういうタイプは短期間で事業の成果を上げるには、強い武器となるタイプかもしれません。
前職サラリーマン時代に、とある先輩から「うちの会社で偉くなる奴は、みんな嫌なヤツばかりだ」と笑いながら言われたことがあります。
事業では、その過程で非情と思われる壁をクリアできるようでないと、成果をあげるのは難しいということかもしれません。
レイ・クロック自身、ただのし上がれたわけではないでしょう。
自宅を抵当にして借金をし、マクドナルド兄弟との契約のしがらみをほぐしながら、多くのリスクを背負い、それをクリアしてきたことは、事業家として優れた行動力だったかもしれません。
アメリカでのし上がる人はこういう人なのかな、というイメージを持たされる映画でした。
まあ、正直私はレイ・クロックのような事業家にはなれないし、なりたいと思わないですね(笑)
ましてや60歳過ぎてから2度の結婚と2度の離婚なんて、絶対ムリ(笑)