先日このブログで漫画日本の歴史を購入したことをご紹介しました。
いつもだと一気に読んでしまうのですが、今回はじっくり味わいながら読み進めています(^^)
老舗の小学館のシリーズが8月31日まで無料で読めるので、ちょうど読み比べができるんですね。
たまたま講談社の第4巻と小学館の第4巻がほぼ同じ時代をカバーしていたので、ちょっと比較してみました。
こちら講談社
こちら小学館
年表表示
小学館は本書巻頭に「780年陸奥で蝦夷の反乱」から「930年菅原道真が天神に祭られる」まで見開きで掲載。
講談社は本書巻頭に主だった項目を挿絵と解説付きで、本書末に「781年桓武天皇即位」から「927年延喜式が献上される」まで見開きで掲載。
年表の充実さは講談社に軍配の印象です。
掲載内容はほぼ同じですが、一部異なる掲載がありました。
- 781年桓武天皇即位は小学館には掲載なし
- 801年坂上田村麻呂が蝦夷平定開始は講談社には掲載なし
- 空海が金剛峯寺を建てた年は、小学館は「816年創建」、講談社は「819年建立」とある。Wikipediaによると816年は高野山を嵯峨天皇から賜った年で817年から建立開始、819年に代表的な中門が建立、金堂が建立開始とありました。
- 903年菅原道真死去は講談社に掲載なし
- 905年古今和歌集ができる、は講談社に掲載なし。Wikipediaによると905年と言われていたがそれ以降詠まれたと思われる歌があることから912年ではないかという説があるらしい。
- 914年三善清行十二箇条の意見書、は講談社に掲載なし
小学館は1998年の発行なので、講談社の方が新しい内容が反映されていますね。
扱っているトピック
小学館は
の4つの章で構成。
講談社は
と細かく6章に分かれていました。
がそれぞれ内容が対応しています。
桓武天皇の政治
長岡京、平安京という2回の遷都、早良親王失脚、藤原種継・良房、和気清麻呂といった内容は共通しています。
蝦夷征伐
坂上田村麻呂、阿弖流為、藤原緒嗣、菅野真道といった登場人物、桓武天皇が平安京の造営、蝦夷征伐の中断をするといったところまでの扱いは同じ。
桓武天皇が都の造営や蝦夷征伐にみせたこだわりについては講談社のほうが丁寧に描写している印象
平城太上天皇の変
これは二社の扱いが大きく異りました。
小学館は2章「最澄と空海」の中でわずか1ページに説明文を掲載するだけで終わっていますが、講談社は1つの章として32ページも割いています。
最澄と空海
小学館は802年最澄がすでに比叡山を賜ってかなり有名になったあたりから、空海は804年の遣唐使で唐にわたるあたりから描写が始まりますが、講談社は785年に最澄がまだ比叡山にこもって修行をしているところから、空海は789年叔父のもとに勉強で世話になるところからの描写です。
応天門の変
小学館が恒貞親王、伴健岑、橘逸勢を追い出した承和の変、伴善男を追い出した応天門の変の2つの政変そのものの描写なのに対して、講談社は藤原氏がちゃくちゃくと権力の基盤をかためていくところを軸に描写をしています。
菅原道真と延喜の治
菅原道真については小学館の方が幼少から死後まで描いていて講談社より幅広い年代を扱っています。
ただ小学館は藤原時平・忠平がまとめあげた延喜式についてはここで触れていないのに対し、講談社は2ページに渡って記載しており、延喜式によって天皇による統治がその後の貴族社会の理想となったことに言及しています。
構成
あくまでの個人的な印象ですが、小学館は事柄を淡々と記載している印象を持ちました。
漫画という形をつかっているのですが、基本説明調なので「優しい本」を読んでいるような感じです。
参考書をより親しみやすく、という視点での構成になっているのかな。
一方講談社は、脚色の感じるからか、ドラマ調の印象です。
話の展開が各章である人物の視点にあえて乗せているからかもしれません。
桓武天皇、阿弖流為、藤原薬子、最澄、空海、藤原の各氏、菅原道真など。
藤原氏といっても藤原一族の中でも藤原四家(藤原北家、南家、式家、京家)の間で権力争いがあり、藤原北家だけが残っていく様子もまたこの時代の面白さの一つであることは、講談社がよりよく紹介してくれています。
歴史ドラマを見ているようで、全ページにある豆知識や各章の最後のまとめ、そして巻頭でその巻の時代について詳細な記述があり、参考書としてのボリュームも併せ持っています。
講談社、かなり頑張ったなぁ。
講談社にない小学館の良さは、天皇家の家系図を随所に見せてくれていること。
家系図は時間軸にそって上から下に記載するのが一番わかりやすい。
講談社の登場人物相関図は逆にかなり見づらい。
2ページに登場人物のイラストも含め広い範囲で人間関係を表しているので、時間軸がわからずごちゃごちゃしすぎているんですね。
講談社に改善をもとめるとしたらこの2ページ。
天皇家、藤原氏、平氏、源氏など、どことどこが血の繋がりがあるのかはキーポイントでもあるので、講談社でも家系図についてわかりやすく随所に掲載してくれるとよかったなぁ、と思います。
単行本による比較はこんな感じ。
シリーズ全体となるとまた違った印象が出てくるかもしれませんので、それは読了したあとで(^^)