48歳からの挑戦

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読書会〜「安倍・菅政権vs検察庁」

 

今回の読書会の課題図書はこちら、「安倍・菅政権vs検察庁」。

 

テレビでもよく報道されていた黒川検事長の勤務延長問題を軸に、河合元法務大臣逮捕事件もからめて、安倍・菅政権と検察庁とのかかわり、攻防をジャーナリストからの視点でまとめた本です。

 

検察庁について見識があまり豊かでない自分にとって、検察庁がどんな存在なのかをしるきっかけになったこと、そして政権側の検察庁に対する視線を感じることができた本でした。

 

国は、立法、行政、司法という3つの権力がそれぞれ独立するいわゆる三権分立を原則とし、それぞれの機関が緊張感を持って役割を担う、というシステムをとっています。

 

学校で習ったと思いますが、ちょっと復習(^^)

 

立法は法律を作る機関で国会がその役割をもっています。

 

行政は定めた法律を元に政策を実行する機関で内閣がその役割をもっています。

 

司法は定めた法律に遵守しているか監督する機関で裁判所がその役割をもっています。

 

今回主役の一つ検察庁は「検察官及び検察庁は,行政と司法との両性質を持つ機関である」と説明されています(出典:検察庁ホームページ「我が国の検察制度の特色」より引用)。

 

警察から回ってきた事件の捜査をおこなって起訴するかどうかを決め、起訴後は裁判所が円滑に訴訟問題を処理できるよう活動することが業務とされています。

 

組織のトップは検事総長で、国家行政組織法8条の3、法務省設置法14条および検察庁法に基づいて置かれる法務省の特別の機関とされています。

 

法務省とは深い関わりがありますが、独立性を保つために法務大臣の指揮権は検事総長を通じてのみできるという制限が課されています。

 

構成する検察官は、時には法務省に出向し立法の役割を担ったり、政府にとっての法律の専門家として活動することもあるようです。

 

 

 

 

この本を読んで感じたのは「人のエゴの強さと方向によって実に多くの人間がまきこまれる」ということ。

 

人を動かす大きな武器は権力ですが、権力はだまっていても手にすることはできません。

 

権力を手に入れるには、経済力だったり、戦略性だったり、攻撃力だったり、何かしらの要素が必要です。

 

これらは「努力をすれば誰でも手に入れられる」という人もいますが、私は個人的には天賦の才能の方が大きいかな、と思ったりしています。

 

だれでもが、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、ドイツのメルケル首相、南アフリカマンデラ元大統領のようにはなれないと感じています。

 

政界のトップに君臨する人、官僚としてトップに立つ人は、天賦の才能と個人の努力の積み重ねを持っている人なんだろうというのが、私の持論。

 

なので総じて言う「力のある人」が組織のトップにたてるわけで、その人のエゴの性質によってその組織及び組織が影響を与える世界は全然違った世界になるんだろうなぁ。

 

 

 

検察庁法案改定問題も引き起こした黒川案件。

 

黒川氏本人は「なりたくない」と言っていて検事総長に、安倍・菅政権が無理やり就任させようとしたことで起こった事件です。

 

黒川氏が政界の人たちにとって仕事のできる人であったことが、彼を苦悩させたことは皮肉な話です。

 

そしてそれに振り回された現在の検事総長林氏も同様です。

 

政治家が悪いことをしたら検察がそれを咎める、というのが冒頭の三権分立によって成立する緊張関係です。

 

日本の多くの企業が「ガバナンス強化」という名目で法律の専門家を経営メンバーに据えるようになったのは最近のことですが、政府はずっと以前から優秀な検察官を取り込んでやっていただろうことは、この本から想像されます。

 

もちろん自主的にガバナンスを強化する目的でその役割が果たされてばいいですが、身にかかったほこりを隠すためのアドバイザーや調整役として機能している面もありそうだ、ということもこの本から印象をうけます。

 

ひらたくいえば「スキャンダル隠し」。

 

まあ、穿った見方はいろいろできますが、普段なかなか注意がいかない検察庁というものが、黒川事件を通じてどういうものなのかをある程度一般に知らしめてくれたという意味で、この本の価値はある気がします。

 

 

 

先日菅首相の首相秘書官に高校の元同級生が登用されたという記事がでていました。

 

首相秘書官といえば、有名なのが小泉純一郎元首相の首相秘書官があの有名な飯島勲氏です。

 

さらに昔になると福田赳夫元首相の首相秘書官は息子で後の首相福田康夫氏、岸首相には息子で安倍元首相の父でもある安倍晋太郎氏がついていました。

 

首相の信頼がないとつけないポジションということがわかります。

 

それだけに、彼はこの本にあるようなドロドロとしたエゴがうずまく世界で仕事しているんだなぁ、黒川氏みたいにならなきゃいいけどなぁ、となんともいえない気持ちになりました。