(画像:Netflixより引用)
今回観たのはこちら「ミュンヘン」。
1972年ミュンヘンオリンピックでパレスチナの過激派がイスラエルの選手・コーチが宿泊している選手村を襲撃し、2人を死亡させ9人を人質にしたが空港でこの9人も殺害した、という痛ましい事件がありました。
報復するイスラエルのモサド機関とさらなる報復をするパレスチナと報復合戦が泥沼化します。
モサドの暗殺プロジェクトのリーダーとなる1人のイスラエル工作員の苦悩を描いた作品です。
実話を基にしたスティーブン・スピルバーグが監督した社会派映画。
スピルバーグは娯楽映画のイメージがありますが、「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ペンタゴン・ペーパーズ」といったシリアスな作品も手掛けています。
この映画、かなり残酷なシーンや女性の裸体などがでてくるためPG-12に指定されていますので、流血やセクシャルな描写が苦手な人はおすすめしません。
もうすぐ待望の子供が授かるというアヴナーというイスラエル人がこの映画の主人公。
そこにイスラエル政府から呼び出され、ミュンヘンでのパレスチナ過激派によるテロへの復讐を命じられます。
暗殺リストにのった人物11人を抹殺すべくアヴナー率いる5人のチームが欧州で暗躍します。
殺人、父としての自分、家族、消される仲間、パレスチナとの銃撃戦、裏切り、いろいろなことが次々と身にかかってきてアヴナーの心がすさんでいく様が丁寧に描かれています。
生きるとはどういうこと?
そんな基本的な問いかけをされる作品です。
アラブ寄りだとかイスラエル寄りだとか批評は分かれるようですが、スピルバーグが自分でもいっているように、そういう視点ではなく人の心に焦点をあてた作品として観ると感じさせられます。
私の個人的な印象は
- ストーリー性:実話に基づいていることもあり、迫力あります。
- 気分:結構重たくなります(^^;;
- 役者:いい役者がそろっていた印象です。
- 英語難易度:わざとなのかイスラエルなまり?の英語がメインです。アラブ語、イタリア語、ドイツ語などがよく出てきますので、音声だけだと英語学習者にはちょっときついかも。
- 時間:2時間44分でちょっと長い
- また観たいか:何度も観ようという気持ちにはならないですね(^^;;
というところ。
本映画はテーマがイスラエルvsパレスチナなのでかなり根深い。
長年に渡って世界中にちらばり、多くの迫害を受けながらも念願のイスラエル建国が実現した一方、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地でもあり、2000年にわたる宗教的対立の縮図といっていい、難しい場所でもあります。
宗教対立は長年血で血を争う抗争を繰り返してきて、そのために生まれ染み込まれた恨みの感情はそう簡単にぬぐえるものではないだろう、と想像します。
とはいえそれを続けることは、この映画の主人公アヴナーを通じて描かれていた大きな苦悩と一緒に生き続けることになりかねない、そんなことをスピルバーグは訴えたかったのではないかと、まずは素直に受け止めてみます。
スピルバーグがユダヤ人であること、映画の主人公がイスラエル側であること、でうがった見方をする人も少なくないでしょうね。
この映画で「あ、観たことある」と思った役者が2人(^^)
1人はジェフリー・ラッシュ。
アヴナーに資金提供など裏から活動を支援する実質の上司みたいな役です。
この右側の男性です。
パイレーツ・オブ・カリビアンのバルボッサでおなじみです(^^)
もうひとりは暗殺グループで一番の武闘派であるロバート役だった人。
この左側の人。
だれだかわかりますか?(^^)
そう、007の6代目ジェームズ・ボンドでおなじみのダニエル・グレイグです。
こちらジェームズ・ボンドのダニエル・グレイグ。
だいぶ印象が違いますね。
ちなみにダニエル・グレイグは、このミュンヘンが公開された翌年にカジノ・ロワイヤルが公開されています。
ミュンヘンでは、ジェームズ・ボンドとは違って饒舌で短気なロバート役なので、最初わからなかったのですが、「なんか観たことあるなぁ」と思って調べたらそうだった(^^)