オリンピック競泳の萩野公介選手が休養を発表しました。
いろいろ言われているオリンピックですが、アスリートの高いレベルのパフォーマンスや、その裏にあるストーリー、姿勢などいろいろな面で私はたくさん感動をもらっています。
その中の1人、競泳の萩野選手は今大会でも印象的な1人となりました。
萩野選手といえば、前回のリオオリンピックで、個人400メートルメドレーで金メダル、個人200メートルメドレー、800メートル自由形リレーでそれぞれ銀メダルをとったトップスイマー。
そこから突然のスランプになり、一時的競技から離れるも復活して今回のオリンピック出場権を手にし、個人200メートルメドレーで決勝まで残りました。
200メートル、400メートルともに個人メドレーでは日本記録保持者です。
5年前の萩野選手は、実績からのイメージ通り「自信満々」という印象でした。
当時では、世界一のスイマーだったわけですから、この自信は頼もしくさえ感じられ、競技を観る側とすれば当然次のオリンピックでの連覇は固い、とさえ思っていました。
大学卒業後プロスイマーとなってから国際大会でメダルをとるも、タイムが落ちてくるという不調にぶちあたり、ついに国内の大会の決勝で棄権することに。
本人もコーチも原因がわからず。
萩野選手はその後競技を離れて放浪の旅にでます。
聞くところによると「水泳が嫌いになりかけていた」とか。
昨年復帰した直後は全然タイムが出ず、オリンピックなんて想像できないような状態でしたが、猛練習したんでしょうね、ついに出場権を手にします。
準決勝終わった後の号泣しながらのインタビュー、そして決勝を終えた後の笑顔と晴れ晴れとしたインタビューは、皆さんにはもう周知のことと思います。
先程リンクをはった記事に萩野選手のコメントが掲載されています。
「結果にとらわれてずっと前ばかり見ていた。水泳がしんどいなと感じた時、後ろを見るとたくさんの人が応援してくれていた。なんかもう、金メダルとかメダルとか本当にちっぽけなもののように感じて。水泳を続けてきてよかったなと思います」
一度は嫌いになりかけるくらいまで追い込まれた萩野選手がこういう心境に至るまで、どれほどの壁を超えてきたんだろう、と、勝手に思いをはせてしまいます。
アポロ11号が月面着陸した際に司令船で待機していたマイケル・コリンズ氏は底から地球を眺めて
「世界の指導者がはるかかなたから自分たちの星・地球を見たら彼らの態度も根本から変わるだろう。国境は見えないし、言い争いも聞こえない。共産主義者も資本主義者もない。」
と言ったそうです。
なんとなく、この俯瞰した感覚が2人にあるような印象を持ちました。
27歳という年齢を若いというかどうかは人それぞれですが、私自身27歳のときは結婚したばかりで、実に世間知らずで身勝手で調子に乗っていたことを思い起こすと、萩野選手のこれまでの経験がどれくらいだったのか、想像を超える気がします。
アスリートに限らず、一つのことを突き詰めようとしている人たちは、その過程でたくさんの壁にあたり、挫折を経験し、それを乗り越え、乗り越えるための努力を惜しまず、自分の欲望をおさえ、日々継続してきたというとてもつもない行動をしてきているんですね。
努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ。
by リオネル・メッシ
そういうことを考えると、自分の直面している課題はまだまだやれる余地がありそう、と思えるし、その可能性はまだまだあるよと言い聞かせてあげられます。
ギリギリまで自分を追い込み続けることができるアスリートの人たちが、これからもいいパフォーマンスを出し続けられることを願ってやみません。