48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読後感想〜「21 lessons」

先日テレビで「サピエンス全史」で著名なハラリ氏が出演していたのを父がみて、本を読んでみたい、と買ったのがこちら。

 

私が「ハラリ氏はサピエンス全史で有名になった人なので、まずそれから読んでみるといいよ。俺持ってるから貸すよ」と話したところ、「じゃ、交換しよう。」ということで父から借りて読みました。

 

文庫本で全部で500ページ弱という大作です。

 

著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏(以降ハラリ氏とする)は、先程述べたようにサピエンス全史という本で一躍有名になります。

 

2011年にヘブライ語で出版、日本語版は2016年に発行されます。

 

その後「ホモ・デウス〜テクノロジーとサピエンスの未来」を出版、この「21 lessons 21世紀の人類のための21の思考」はその続編的な位置づけです。

 

「21 lessons 21世紀の人類のための21の思考」の「はじめに」でハラリ氏がこれら前作を含めて位置づけを説明してくれています。

 

最初の著書「サピエンス全史」では、人間の過去を見渡し、ヒトという取るに足らない霊長類が地球という惑星の支配者となる過程を詳しく述べています。

第二作の「ホモ・デウス〜テクノロジーとサピエンスの未来」では、生命の遠い将来を探求し、人間がいずれ神となる可能性や、知能と知識が最終的にどのような運命をたどるのかについて、入念に考察した。

 

本書については「はじめに」でも長く説明しているので全文を掲載するのは控えますが、「今」についてフォーカスしグローバルな視点で、問題を提起(第一部)し、その対応案を提示し(第二部)、その可能性について考察し(第三部)、新しい問いをたて(第四部)、新しい時代を眺める(第五部)ということを語っています。

 

「21 lessons」とあるので、21個の章に分割されています。

 

1 幻滅――先送りにされた「歴史の終わり」
2 雇用――あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない
3 自由――ビッグデータがあなたを見守っている
4 平等――データを制する者が未来を制する
5 コミュニティ――人間には身体がある
6 文明――世界にはたった一つの文明しかない
7 ナショナリズム――グローバルな問題はグローバルな答えを必要とする
8 宗教――今や神は国家に仕える
9 移民――文化にも良し悪しがあるかもしれない
10 テロ――パニックを起こすな
11 戦争――人間の愚かさをけっして過小評価してはならない
12 謙虚さ――あなたは世界の中心ではない
13 神――神の名をみだりに唱えてはならない
14 世俗主義――自らの陰の面を認めよ
15 無知――あなたは自分で思っているほど多くを知らない
16 正義――私たちの正義感は時代後れかもしれない
17 ポスト・トゥルース――いつまでも消えないフェイクニュースもある
18 SF――未来は映画で目にするものとは違う
19 教育――変化だけが唯一不変
20 意味――人生は物語ではない
21 瞑想――ひたすら観察せよ

 

この本の最大の特徴は、今日本人が「正義」の軸としている「自由主義」と「民主主義」の世界観、制度について、その欠点を指摘していること。

 

最近「資本主義」ってどうよ、みたいな本や記事を目にすることは多いですね。

 

それは資本主義は結果的には、投資家(資本家)に冨が集中して格差が広がり、多くの人を幸せにするのかという点に疑問を投げかけられるようになったためです。

 

ハラリ氏はもっと前提となっている「自由主義」と「民主主義」につっこんでいるところがすごい。

 

こういった批判が独裁者や非自由主義者に悪用されかねない、と著者本人も懸念したのですが、欠点を指摘することで改善されることを期待し、「自由な議論」を選択した、と述べています。

 

500ページというボリューム以上に読み応えがあり、今なんとなく「おかしいな」と考えていることが「あ〜、こういうことだからか」と腹落ちさせてくれる考察をたくさん用意してくれています。

 

ハラリ氏の洞察力、考察力には畏敬の念さえ感じるくらい、自分の視野や考える力の足りなさを痛感させられました(^^)

 

ま、だからこそこういった人たちの本を読んで少しでも視点や考察力を身に着けていくのが読書のいいところですね。

 

いま世の中で起きていることが、「なぜ」なのかということを考えるための視点や出発点のヒントを与えてくれる、そんな本というのが私の印象です。