(画像:Netflixより引用)
エジソンズ・ゲーム。
題名からエジソン(写真右)の半生記みたいな映画と想像しましたが、エジソンのライバルであったウェスティングハウス(写真左)とエジソンとの「電流戦争」を映画化したものでした。
「電流戦争」とは、電気の伝送システムでどっちが標準として採用されるか直流システムを推すエジソンと交流システムを推すウェスティングハウスとの主導権争いのことをいいます。
いまでいう「フォーマット競争」みたいなもので、古くは「VHS対ベータ」、「HD DVD対Blu-ray」、「8mmビデオ対VHS-C」あたりが我々消費者に身近なところですね。
ウェスティングハウスが推してた交流方式が現在の主流となっています。
この映画では、そんな電流戦争における対象的なウエスティングハウスとエジソンの人間模様を描いています。
この映画で抑えておくべき登場人物は2人。
です。
正攻法で技術的優位を信じて交流システムを拡げようとする紳士的なウェスティングハウスに対し、相手を否定することで自分の優位性を築こうとする野心的なエジソンと、2人のキャラクターは正反対のように描かれています。
ウエスティングハウスはエジソンと手を組みたがっているのですが、一方のエジソンは自分こそがNo.1というポジションを譲りたくなく、徹底的にウエスティングハウスを批判します。
しかしいろいろなことがあって2人の関係は徐々に変化していくのですが、それは映画を見てのお楽しみ。
ここにニコラス・ホルト演じるニコラ・テスラという重要な人物も登場するのですが、この映画の中では控えめな位置づけになっていました。
実際のニコラ・テスラは、物理の磁束密度の単位の名前になるくらい、すっごい学者さんです。
研究者で自分の名前が単位になるのは本当に名誉なことで、ニュートン、ワット、ボルト、アンペア、キュリーなどほんの僅かしかいません。
ただこの映画の流れからすると、テスラの存在はあまり出しゃばらないほうが確かにいいかもしれません。
時間が1時間48分と手頃なのはいいですね。
キャスティングはさすがというメンバーが揃っている印象です。
私はカンバーバッチしか知らなかったのですが^^;;
映画の日本語タイトルは「エジソンズ・ゲーム」となっていますが、現代はThe Current Warです。
いわゆる「電流戦争」のことを言っています。
ちょっと日本語タイトルが狙いすぎな気がして個人的には気に入らない(笑)
余談ですが・・・ストーリーは史実に基づいているのですが、演出の関係かちょっと事実と異なる点があります。
ウェスティングハウスの右腕だったポープが事故で感電死してしまうのですが、映画ではシカゴ万博の前に亡くなってそれを機にウェスティングハウスが頑張りを見せるのですが、実際はシカゴ万博の2年後に感電死しています。
またウィリアム・ケムラーという男が初めて電気椅子で処刑されるのですが、映画ではシカゴ万博のタイミングのように描かれているものの、実際は万博の3年前に処刑されています。
余談その2・・・この映画は公開までプロデューサーの横槍などがあり、だいぶ苦労したようです。
そしてそのプロデューサーこそ、MeToo運動でやり玉にあがったハーヴェイ・ワインスタインです。
おまけとして電流戦争の主な年表を添付します。
- 1846年 ジョージ・ウェスティングハウス・ジュニア誕生
- 1847年 トーマス・アルバ・エジソン誕生
- 1856年 ニコラ・テスラ誕生
- (中略)
- 1878年 エジソン白熱電球発明
- 1882年 エジソン直流110ボルト電気を供給し、世界で初めて送配電システムの運用開始
- 1884年 ニコラ・テスラがエジソンのもとで働くが1年後退職
- 1886年 ウェスティングハウス最初の多電圧交流送電システムをマサチューセッツ州グレーとバーリントンに設置
- 1887年 ニコラ・テスラが会社設立
- 1888年 テスラとウェスティングハウスが協力関係を結ぶ
- 1890年 ウィリアム・ケムラーが初めて電気椅子で処刑される
- 1891年 テスラがテスラ変圧器を発明
- 1892年 ゼネラル・エレクトリックがエジソン・ゼネラル・エレクトリックを吸収合併
- 1893年 シカゴ万博
- 1895年 ナイアガラの滝発電所からウェスティングハウス、テスラが送電を実現
- 1895年 ウェスティングハウスの片腕ポープが感電死
- (中略)
- 1914年 ウェスティングハウス死去
- 1931年 エジソン死去
- 1943年 テスラ死去