48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

NHKスペシャル「戦国」より

NHKスペシャルについては何度かこちらのブログでもご紹介させていただいております。

 

6月28日、7月5日と2週に渡って放送された「戦国」がとても興味深かったのでご紹介させていただきます(^^)

 

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(画像:NHKホームページより引用)

 

織田信長豊臣秀吉徳川家康といった武将が活躍し日本が江戸幕府によって統一される直前の戦国時代。

 

なんとこの時代が世界史の動向に深く関わっていた、というお話です。

 

織田信長の時代が中心の第1集、徳川家康が天下をとる時代が中心の第2集と2回に分けられて放送されていますが、個人的に驚いたのは第2集の内容でした。

 

スペインの思惑と信長・秀吉の思惑

第1集では、世界史と日本の戦国時代が接点をもつ序章について解説してくれています。

 

日本の戦国時代といえば1467年の応仁の乱が始まりとみますが、この舞台はザビエルが日本に宣教師としてやってきた1549年ごろに幕を開けます。

 

当時世界では

1492年 コロンブスアメリカ大陸発見

1519〜22年 マゼラン世界一周

 

ポルトガル、スペインによる大航海時代の幕が上がり、世界中でポルトガルとスペインの植民地を拡げていました。

 

その中でスペインが目をつけたのが日本。

 

日本をも支配において中国は明、朝鮮半島李氏朝鮮が支配しているアジアの征服拠点ともくろみます。

 

そこで彼らのとった作戦が「キリスト教布教」です。

 

1549年ザビエルが来日した真の目的は、日本にキリスト教を布教し、スペインの支配下に置くことにありました。

 

この思惑を知りながら利用しようとしたのが信長と秀吉です。

 

世界一の軍事力をもっていたスペインから最先端の武器、貴重品を手に入れて、軍事的、権威的に優位にたとうと目論んだのです。

 

この両者の思惑と駆け引きの内容が見どころなのが第1集です。

 

この流れは比較的前から耳にすることはありました。

 

 

 

日本が世界史を動かした?

個人的には第1集は第2集への理解を深めるための前座だったのではないかと思ってしまうくらい、第2集は驚きました。

 

舞台は第1集より時は40年ほど流れ1600年ごろ。

 

日本では有名な関が原の戦いでついに徳川家康が日本統一目前となりますが、最後の関門豊臣家の処遇が残されていました。

 

一方当時の世界は、1580年にスペインがポルトガル支配下におき名実ともに頂点をむかえます。

 

そこに1581年スペインの植民地だったオランダが、スペインの圧政に抵抗しついに独立を宣言します。

 

このオランダはもともと商人が集まってできた国。

 

日本の大阪の堺みたいなものでしょうか。

 

1602年世界で初めての株式会社「東インド会社」を設立します。

 

この会社、世界中の国と条約を結ぶことができるなど、国レベルの特権を与えられていてオランダの世界進出の旗頭になります。

 

映画パイレーツカリビアンでも東インド会社はあくどい商売会社として描かれていますね(^^)

 

そう、領土を支配することで覇権をとる戦略だった軍事大国スペインに対し、後発のオランダは経済を支配することで対抗しようとしていたのです。

 

オランダの誕生はまさにスペイン天下の世界にうちこまれた楔のようでした。

 

そんなスペイン、オランダがなぜか日本に近づいてきます。

 

なぜか・・・

 

注目1:銀

 

当時日本は世界の3分の1を占めるくらい銀の巨大産出国だったそうです。

 

昔は金、銀が豊富にあった資源国だったんですね。

 

当時アメリカ大陸発見後、たくさんの銀山が発見され銀が大量に発掘されます。

 

そしてそれが銀貨となって世界中で使われるようになります。

 

グローバル経済の先駆けです。

 

なんせ、世界統一通貨みたいなものですからね。

 

なので、銀を支配することはグローバル経済を支配することと同じことなんです。

 

家康も関ヶ原以降、真っ先に国内の銀山をおさえて銀の採掘を独占し、国外の流出を禁止します。

 

スペインもオランダもこの銀を目当てに家康に近づくんですね。

 

スペインは領土支配が狙いですから、高い技術力をもった鉱山技師を派遣することを提案し、採掘した銀の1/2をもらうことや宣教師による布教の許可とオランダの国外追放をその条件として家康に提示します。

 

オランダは、スペインが日本を支配する狙いであることを家康にチクって危機感を煽ります。

 

そして家康が豊臣家との戦いで必要な武器の調達を約束するのです。

 

オランダは領土支配ではなく、あくまでも経済的に潤うことを狙っていたので、家康にとってもこちらのほうが付き合いやすかったのでしょう。

 

家康は1612年の禁教令で布教活動を禁止して、スペインとの交渉を打ち切り、オランダと手を組むことになります。

 

この経緯がのちに鎖国したあともオランダが出島への出入りを認められた数少ない国の1つになった理由の一つといえるでしょうね。

 

この後オランダから手に入れた大砲を使うことで家康は大坂の陣に勝利し天下統一を果たします。

 

オランダは日本での成功体験を活かして、東南アジアのスペインの植民地を奪いに進出をはかります。

 

当時の東南アジアは高価な香辛料(同じ重さの銀と交換されていたらしい)、貿易拠点などとても貴重な地域だったようです。

 

スペインも要塞を築いて対抗します。

 

オランダはここでかなり苦戦を強いられます。

 

オランダの東南アジア植民地総督が日本担当総督に協力を求めます。

 

そこでオランダの日本担当総督は家康に直談判して、日本から以下のものを輸出することの了解をとりつけたのです。

 

注目2:軍事輸出国だった日本

 

日本からは、世界的にも優れた性能だった火縄銃、切れ味の鋭い槍、日本刀などのほかに、なんと侍も輸出されていたことがわかりました。

 

侍を輸出?そう、傭兵です。

 

天下統一がされた日本では、戦いがなくなったため多くの侍が失業状態となります。

 

そんな侍たちがお金をもらって傭兵となって東南アジアでスペインと戦っていたんです。

 

スペインの要塞は日本兵の突撃もあり陥落、オランダは東南アジアで4分の3ほど奪うことに成功しました。

 

まさに世界史の勢力図の形成に日本の武器と日本人そのものが深く関わっていたことが、オランダ国立文書館の保管されていた資料で明らかになりました。

 

当時のオランダの関係者が細かく日誌などをまとめていてそれが残っていたそうです。

 

 

戦後70年幸いにも戦争をしなくてすんできた日本では、戦争そのもの対する感覚もなくなりつつあるかもしれません。

 

昭和の軍国主義の時代を除いて、日本が軍事産業、しかも傭兵までが日本の歴史を動かし、そして世界の歴史を動かしていたことがとても私には驚きでした。

 

番組の取材にこたえていたシカゴ大学の教授は、「日本の戦国時代は世界史の最先端に

いたんだよ」と語っていたことも大げさではない気がします。

 

 

内容的にはかなりネタバレですが、NHKの編集も見事なので、オンデマンドなどでご覧いただけるとより理解が深まるのではないかと思います。