今回の読書会の課題図書はこちら。
副題は「死にゆく人々の本音」。
著者古田雄介氏が2020年7月から東洋経済オンラインで連載した記事に加筆修正をし、連載で敢えて取り上げなかった自殺の事例を2つ追加して書籍化した物です。
全部で15の事例が紹介されています。
最後の15章以外は全てもう亡くなられた、あるいはそう思われる人々が残したブログで、最後の15章は娘を殺されたけど、犯人が見つからず、なんとしても捕まえたいという強い思いを持った父親のブログです。
いずれも「死」が自分のこと(あるいは家族のこと)として直面した人々なので、どれも真剣そのもの。
その思いをどれだけ受け止めているか自分では自信がないのですが、それでも結構重たい内容に感じました。
私もブログ仲間が亡くなったり、あるいは亡くなった後にその人のブログを見せてもらったりしたことがあるため、死と直面した人のブログを読んでいた経験があります。
自殺をした人を除くと共通しているのは、「時間を無駄にせず、全力で生きている」ということ。
命が限られている、あるいは限られている可能性が極めて高い人たちにとって、矢沢永吉の歌ではないが「時間よ止まれ」が最も望んでいることだろうけど、無情にも時を刻むことは止められず、その中で全力で何かに取り組んでいます。
私の普段の生活ぶりを見たら「なんて勿体無いことを」と叱られるかもしれません。
野球で言えば、抑えの投手のように、全ての球が全力投球なんですね。
先発完投するタイプは、途中で力を抜くところがいくつもあります。力を入れるところと抜くところを上手にマネージできる人です。
私の生き方はまだ幸いにも自分の死が現実的に直面していないこともあり、今は先発完投型です。
若くして病気になり、余命を受け入れなければならない人の気持ちは、簡単には理解できない気がします。
でも、もっと生きたかっただろうなぁと思うことは、そんなにずれてはいないだろうと感じます。
彼らのような全力疾走は難しいけど、人それぞれの命を尊重することはできます。
そう思うと、むやみに人の命を奪う行動が、本当に罪深く感じます。
著者はブログなどの媒体だけでなく、可能な限り自分で取材をして、残された言葉の裏側に何があったのかを探り、本当に伝えたかったことを探そうという姿勢を感じました。
「生きる」ということをまっすぐに問いかけてくる本です。