今回観た映画はこちら。
2020年イギリス・フランス・アメリカのドラマ映画で、アカデミー賞脚本賞、主演男優賞を始め数々の章を受賞あるいはノミネートされた作品です。
主演は「羊たちの沈黙」でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、また本作品でも受賞したアンソニー・ホプキンス。作品でも「アンソニー」という名の老人を演じています。
キャストは、アンソニー含めて主に6人。
・アンソニーの娘「アン」:映画「女王陛下のお気に入り」でアカデミー主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマン。
・男性:ドラマ「シャーロック」でホームズの兄マイクロフトを演じたマーク・ゲイティス。
・介護人ローラ:イモージェン・プーツ
・アンのパートナー ポール:ルーファス・シーウェル
・女性:アン・ハサウェイにどことなく似ているオリヴィア・ウィリアムズ
全員イギリスの俳優です。
「男性」「女性」となっているのは、実は映画の中でいろいろな役名で登場するからなんです。これはこの映画のミソ。
80歳を迎えるアンソニーは認知症の兆候を見せ始めていました。
娘アンはアンソニーにヘルパーをつけるも、癖の強いアンソニーはヘルパーと衝突して結局追い出してしまいます。
アンソニーの症状はだんだんと悪化していき自分の置かれた状況もわからなくなっていきます。
苛立つアンソニーはアンに当たるようになり、アンは体力も気力も消耗していきます。
映画を見始めて10分くらいすると少々とまどいます。
つい先程登場したアンが別人になっているからです。
そしてフランス人の恋人ができたからフランスに引っ越すといっていたのに、別人のアンには夫がいてフランスの話なんてなんのこと?と言うのです。
かと思えば、明日から来る介護人ローラが事前の顔合わせで家にきたとき、下の娘翌日来た人物はまったくの別人。
アンソニーは混乱しますが、観ているこちらも混乱します(^^)
そう、この映画、大部分がアンソニーの視点で描かれていると思われるのです。
言ってしまえば、最初と最後以外は全部アンソニー視点描写と思われます。
つまり認知症にかかるとこのような混乱が起こっているのだろう、ということを疑似体験させてくれるような描写になっているんです。
この構図は今までになく新鮮であり、だからこそ観終わった後の印象が強烈でした。
高齢化社会と言われている日本では、多くの人が関わる可能性がある認知症。
社会的な課題でもあり、ひとごととは思えない描写でした。
もし自分がこのような体験をしたら、認知症にかかっていると思ったほうがいいかも、という指針にさえなりそう。。。
そしてアンソニー・ホプキンスの演技が秀逸!
「羊たちの沈黙」で演じたハンニバル・ベクター博士の印象がめちゃ強いですが、この映画では見事に認知症の老人を演じきっています。
そして娘アン役のオリヴィア・コールマンもいいですね。一生懸命なんだけど、だんだん消耗していく感じが実にリアルです。
簡単なセリフが多かったせいか英語も比較的聞き取りやすかったです。
面白い、というのではなく、ぐっと印象に残る映画でした。