48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜ルポ特殊詐欺

 

今回の読書会の課題図書はこちら。

 

オレオレ詐欺」に代表される高齢者を狙った詐欺事件の実行犯たちへのインタビュー、公判記録などをまとめ、特殊詐欺事件に見られる社会問題に言及した本です。

 

伝聞や推測ではなく、犯人、捜査官、被害者から直接話を聞いた一次情報だけに、内容は迫力があります。

 

そして犯罪の裏にはやはりあの大きな組織が絡んでいる恐れがとても高い。

 

犯罪に加担する人たちがどんな経緯で手を染めてしまったのかが数多く紹介されていて、ドキュメンタリーとしてはかなり濃密な内容です。

 

犯人たちのかなりの割合が「やめたかったけどやめられなかった」と語っていたこと、詐欺に失敗するとやむなく強盗に加担させられてしまうことがあること、金の当てもなく自分の居場所を失っていたところに「高収入」などの甘言に引き寄せられるように若者が食いついてしまうケースが少なくないこと、なかなか生々しいです。

 

騙された人たちは金品を失っただけでなく、「騙された」というショックや「なんで騙されたの」という親族からの非難を浴びることで精神的な苦痛を受けている、という指摘は本書で気づかされた点です。

 

この点はあまりクローズアップされていないところ。

 

詐欺事件は身体的苦痛を受ける殺人、傷害、強盗などよりも刑が軽いそうです。

 

金品なら取り返しがつくから、というのが背景にあるらしい。

 

この辺りが特殊詐欺事件の持っている大きな課題、という著者の指摘。

 

最後に法改正の提案や、家族や親族同士によるサポートのあり方について言及しています。それは被害者を守るだけでなく加害者を減らすことにも視点を置いているところがポイントです。

 

個人による防衛能力、社会によるサポート、どちらも必要な要素であり、簡単なことではない面もあります。

 

犯罪が摘発されれば被害者だけでなく加害者もある意味苦痛を受けるわけで、言い方が乱暴ですが「割に合わない」活動であることをより多くの人たちが認知できると、防止にある程度効果をもたらすのでないかと思います。

 

 

 

私の両親も高齢。幸か不幸か財産があまりないので詐欺の対象しては不適格な家ですが^^;;それでも会うたびに「私は電話で金の無心は絶対しないから。もしそんな連絡があったら必ず私に電話するよう」話して、少しでも防衛意識を持ってもらおうとしてます。

 

詐欺は人の心の弱みにつけ込む卑劣な犯罪。

 

本書はその実態を詳しく教えてくれ、改めて気持ちを引き締めさせられました。