48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜「マトリ 厚労省麻薬取締官」

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今回の課題図書はこちら「マトリ」。

マトリ 厚労省麻薬取締官 (新潮新書)

 

読書会は前回に続いてオンラインで。

 

私がZoomの会員になったので、Zoomシステムを使って開催しました。

 

 

 

表紙カバーの千葉真一の雰囲気バリバリのハードボイルドなこの男性、著者です(^^)

 

著者が帯いっぱいに写真で、というのはあまり見たことがない(笑)

 

 

 

大阪の西成あいりん地区で麻薬の取締官として駆け出した著者は、その後各地をまわり、最後は関東信越厚生局麻薬取締部部長に就任して、人事院総裁賞受賞時はチームの代表として天皇・皇后両陛下(現在の上皇上皇后陛下)に謁見したという人物。

 

いわゆる、”その筋”で駆け出しからトップに上り詰めた人でもあります。

 

そんな著者が退官後に麻薬取締の社会的意義と歴史を自分の体験を軸にまとめてくれたのが本書になります。

 

読書会ではたいてい「何か学ぶ」ような題材が多いのですが、今回は読書会の参加者は異口同音に、「本としては面白いけど、なにか学んだか、というとちょっと違うかな」でした(^^)

 

あえていえば、

 

 

などこれまで知らなかった麻薬とその取締の実態を知ることができたのは、学びですね。

 

ただそれで自分の行動に何か影響があるか、というとこれまでとは毛色が異なる感じ。

 

そんなみなさんの印象でした。

 

 

 

この本はわかり易い言葉で、実直でハードボイルドな著者を想像させるような朴訥とした文体で綴られていて、楽しく読むことができました。

 

今の捜査に支障をきたさないよう、一部情報を加工していると言っていましたが、それでも著者の現場体験を交えた実例の紹介は、迫力があります。

 

麻薬については、「使う人」と「供給する人(作る人も含む)」という2つの存在が罪となります。

 

そしてなぜこの犯罪が消えないか。

 

「使う人」にとっては「快楽」が、

 

「供給する人」にとっては「大金」が、

 

それぞれ得られるからなんですね。

 

著者がこの本で語っていましたが、なぜこれが犯罪なのか。

 

自分で快楽におぼれるだけなら、迷惑かけていないから罪にならないだろう、という人もいるだろう、と。

 

ところが、迷惑かけていないどころか、かけまくってるから犯罪なんですね。

 

薬物によって意識がおかしくなり、他人を傷つける事件が頻発するからなんです。

 

立派な犯罪です。

 

だから、その犯罪を生む「薬」を作ることも犯罪になるわけです。

 

 

 

ところが国によっては多くの国では違法である大麻が合法になっているところもあります。

 

「なぜだろう」という素朴な疑問がでてきますね。

 

著者によると、「合法にしたいわけでなく、せざるを得なかったのではないか、と推察する」ということらしい。

 

すなわち、違法として取り締まろうにもあまりにもアンダーグラウンドに入ってしまって取り締まれなくなってきた、と。

 

だから合法にして管理下に置くことで被害をより小さくさせることが狙いなのでは、ということらしい。

 

当事者の国では、喧々諤々の議論を経てこういう結論に至ったのだろうから、単純に良い悪いの評価をするつもりはないのですが、それでも、合法、にはやっぱり違和感感じます。

 

 

 

最後は人事院総裁賞を受賞したくらいですから、長く大変な仕事を続けてきて、それで結果も出してきたのだから、この著者及びそのチームの活動には感謝をしなければ、と思います。

 

職務の性質上「ぶっちゃけ〇〇」みたいなバラエティー番組にでるわけにはいかないですよね。

 

面が割れたら、おとり捜査できなくなっちゃいますもんね(笑)

 

だから普段目立ってはいけないんだけど、大きな抵抗力に抗う力があるわけで、文字通り日本の社会の縁の下の力持ち的な存在なんですね。

 

いつもありがとうございます。

 

マトリ 厚労省麻薬取締官 (新潮新書)