48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜歴史人口学で見た日本

 

今回の読書会の課題図書はこちら。

 

歴史人口学って初めて聞く学問でした。

 

人口の歴史的変遷を研究する学問で、国勢調査が始まる以前の人口を対象としているようです。

 

すなわち国勢調査がされていれば人口を把握することはできるけど、それ以前は統計的に人口は把握できないため、現存する地域限定の資料を収集して分析してそこから類推する、という手法をとることになります。それが歴史人口学です。

 

著者の速水融(はやみあきら)氏は日本に歴史人口学を導入したことで知られた経済学者です。

 

本書によると、海外留学をしていたときに偶然この学問に出会ったとのことで、もともと意識していたわけではないようです。

 

西欧では「教区簿冊(きょうくぼさつ)」という、司祭が生まれてすぐに行う洗礼、婚姻、埋葬などが記載された記録書があり、それをたどっていく手法でしたが、速水氏は江戸時代の人口を分析するために「キリスト教ではないことを確認する」目的で記録されていた「宗門改帳」を活用することを見つけたそうです。

 

まだコンピューターのない時代、紙に表を作ってひとつひとつ記録していく地道な作業を重ねていったそうです。

 

なかなか大変な作業ですね。

 

著者の速水氏は「勤勉革命」という言葉を作った人です。

 

ヨーロッパで生まれた「産業革命」と対比するポジションになります。

 

勤勉革命とは、江戸時代牛や馬が担っていた労役を人が肩代わりすることで、資本を節約し労働集約型で働くスタイルを導入したことです。

 

産業革命は人がやっていた労役を蒸気機関が肩代わりすることで、大量生産が可能になり、単価の下落を産んで一般市民の生活水準を上げたことに意義があります。

 

勤勉革命では、家畜の世話にかけていた労力を自らの労働に置き換えることで生産量をあげようとしたところが、産業革命と対極にあります。

 

江戸時代の年貢はそれほどきつくなかったことから、働けば働くほど自分にプラスになり、ここから日本の勤勉性が養われたのでは、と著者はみています。

 

それに乗じた企業によって、サービス残業や会社への滅私奉公的な働き方が良しとされていたのが昭和の時代だったのかも。

 

 

 

資本と労働についてはまだまだ勉強不足なのであまりコメントできませんが、経済学的な視点で古い時代の人口を調査するという統計的な手法を開発し、社会文化的な知見が得られる、というプロセスは興味深いな、と感じました(^^)