48歳からの挑戦

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岩波100冊プロジェクト(9)〜方法序説

 

岩波100冊プロジェクトの9冊目はこちら、デカルト方法序説でした。

 

「我思う、故に我あり」という有名な言葉を生んだ本としても著名な本です。

 

この本の背景などは巻末にある訳者による解説が丁寧に示してくれています。以下その解説から抜粋して本書を紹介したいと思います。

 

方法序説」は1637年に出版されました。デカルトによって始めrて公刊した著作だそうで、正確なタイトルは

 

理性を正しく導き、学問において心理を探求するための方法の話[序説]。加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾何学

 

というのだそう。全体で500ページにも渡る大作で、最初の78ページが「方法序説」で、その後「屈折光学」「気象学」「幾何学」という科学論文が続く構成です。

 

 

 

序文である方法序説は6部で構成されています。

 

第1部では「当時学校で学んだ人文学やスコラ学などは人生の役に立たない」ことを語ってます。

 

スコラ学:11世紀以降に主として西方教会キリスト教神学者・哲学者などの学者たちによって確立された「学問のスタイル」のこと。スコラ学の方法においては、まず聖書などの、著名な学者の記したテキストが題材として選ばれる。(Wikipediaより)

 

第2部では、「学問あるいは自分の思想の改革のための”方法”として、”明証”、”分析”、”総合”、”枚挙”という4つの規則として提示されています。

 

第3部は「道徳」について。「国の法律と慣習に従うこと」「自分の行動は一度決めた以上は一貫すること」「運命よりも自分に打ち克つことに努めること」という格率(自分のもつ行為規則)を定め、「この世で人々が携わっているさまざまな仕事をひととおり見直して、最善のものを選び出そう」と思い至ったとあります。

 

第4部は「形而上学の基礎」について語っており、「精神としてのわたし」「神」「外界の存在」について語られています。有名な「我思う、故に我あり」はこの第4部で登場します。

 

形而上学:、感覚ないし経験を超え出でた世界を真実在とし、その世界の普遍的な原理について理性(延いてはロゴス)的な思惟で認識しようとする学問ないし哲学の一分野。(Wikipediaより)

 

第5部では公刊できなかった「世界論」のエッセンスが想像上のものとして語られていて、宇宙、心臓と血液循環、動物と人間の違いなどについて語られています。

 

第6部はガリレイ事件の報に接して「世界論」の公刊を中止した経緯について語られています。

 

こんな構成です。

 

ガリレイ事件」とあるのは、地動説を唱えてカトリック教会から有罪判決を出された件です。地動説を唱えないことを約束させられたガリレイが「それでも地球は回る」とつぶやいたという話は有名ですね。

 

すなわち、当時のカトリック教会の方針に反する見解を出すと、協会から罰せられるどころか命を落とすことが当時頻繁にあり、デカルトは「殺されてはたまらん」と処罰対象になりそうな「世界論」の公刊を断念したんだそうです。

 

 

 

訳者の谷川多佳子氏が上手に訳してくれているのですが、さすが岩波、なかなか読みにくい(笑)

 

なので本書を読んで私が何かを学べたか、というと、とても浅はかなレベルに留まっているため、とても自信をもって語ることができません^^;;

 

ただ、今でも通じる部分として自分なりに受け止めたのは「自分で考えろ」というところでしょうか。

 

他人から教えてもらったことを鵜呑みにしただけでは、所詮その程度の話で、教えてもらったことを材料にして自分で思考することこそが価値のあること、というように解釈しました。

 

本文は文庫本でわずか103ページというボリュームですが、なかなか読み進められなかったのは、まだこういう文体や思考が自分に備わっていないからでしょうね。それが今の自分なわけで、伸びしろはたっぷりありそうです(笑)

 

 

 

この本が発刊された1637年前後って、なかなか大変な時代だったようですね。日本では江戸時代が始まって鎖国がちょうど始まる頃です(1639年)。

 

ヨーロッパでは1500年代にカトリック教会の宗教改革によってプロテスタントが生まれた頃で、カトリック教会としても自身の権威を守るため、旧来の学問や思想に反するものは弾圧対象にしていました。先述したガリレオ・ガリレイの有罪判決もそうですが、多くの学者が処刑されています。日本でも遅れること200年先、江戸時代末期天保10年(1839年)に蛮社の獄渡辺崋山高野長英らが処罰されています。

 

自由に語れない社会ってなかなかきつい。

 

そういう社会をつくる為政者の手が届く範囲でしか活動を許されないということでもあり、一種の罪深さを感じさせられます。

 

 

 

なかなか読みづらかった本書、まんがで読破のシリーズでも読んでみよう(^^)もう少し理解ができるかもしれません^^;;

 

 

 

 

岩波100冊プロジェクトリスト

1 風姿花伝 青1-1

2 大地(一) 赤320-1

3 大地(二) 赤320-2

4 大地(三) 赤320-3

5 大地(四) 赤320-4

6 方丈記 黄100-1

7 生物から見た世界 青943−1

8 アラン 幸福論 青656−2

9 方法序説 青613−1