ほぼ1ヶ月ぶりくらいの岩波。今回選んだ学問のすゝめは、まんがで読破ではスイスイと読めて面白かったのですが、岩波文庫を読んでみるとこれがなかなか難儀しました。
ページ数はたいしたことないのですが、文体が少々古いためすっと頭に入ってこない(笑)
かといって全然わからないか、というとそうでもなく、しかもかなり集中すると意味が伝わってくるところもあります。
しかし電車の中で軽く読むということができずにずるずると時間ばかりが過ぎてしまいました^^;;
さて、本の題名、そして「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」という冒頭の一節はかなり知られていると思いますが、実際その中身は、というと意外と知られていない気もします。少なくとも私は全然知らなかった(^^)
明治維新がなり徳川の時代が終焉を迎えた日本では、それでも儒教思想、封建思想が根強く残っていました。
これからは民主主義国家に転換していくためには、”おかみ”のいうことを聞いていればよかった無知な状態ではなく、意識あるものは学問を学び知識を得ていくことが必要で、そのために「自由、独立、平等」がキーワードであることを説いています。
有名な「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」という一節は、この中野「平等」を謳っているようですが、本文ではこの続きがあります。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言われている。人は生まれながら貴賎上下の差別ない。けれども今広くこの人間世界を見渡すと、賢い人愚かな人貧乏な人金持ちの人身分の高い人低い人とある。その違いは何だろう? それは甚だ明らかだ。賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ。人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれどただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ」(文章はWikipediaからそのまま引用)
Wikipediaに掲載されていた文面がわかりやすかったのでそのまま引用しました。
つまり、生まれた時は平等だけど、その後の学びがなければ、人生は大きく差がついてしまう、と言っています。本当はこちらの方が福沢諭吉は伝えたかったんでしょうね。
本書は17の章で構成されています。
社会は法の元で運営されるべきと解き、江戸時代に横行した「仇討ち」などはもってのほか、と切り捨て、この観点で赤穂浪士の行動は本来は不届きである、とばっさり(^^)
今でいう自己啓発本に相当すると思いますが、発刊当時人口3,000万人くらいのところ300万部売れたという、超ベストセラーだったようです。
学び続けることの大切さは、今の時代にも通じる意識の持ち方ですね。
岩波100冊プロジェクトリスト
1 風姿花伝 青1-1
2 大地(一) 赤320-1
3 大地(二) 赤320-2
4 大地(三) 赤320-3
5 大地(四) 赤320-4
6 方丈記 黄100-1
7 生物から見た世界 青943−1
8 アラン 幸福論 青656−2
9 方法序説 青613−1
10 君主論 白3−1
11 人間失格 緑90-4
12 こころ 緑11−1
13 学問のすゝめ 青102-3