東北旅行の投稿が続いていますが、ちょっとブレイク。
今回の読書会の課題図書はこちら。
最近、海外に仕事を求めて若い人たちが流出しているという記事やニュースを目にすることがあります。
ワーホリ、すなわちワーキングホリデーを活用する人たちには、とりわけ注目が集まっているようです。
テレビのドキュメンタリーで
・海外の賃金の高さにびっくり
・仕事とプライベートが両立できる
・日本で仕事するのが馬鹿らしくなった
などといった部分がクローズアップされ、日本の賃金があがらないことへの嫌味的な編集が目につくことが多く、その度に「海外で暮らすというのは、そんな単純なものじゃないんだが」と一応海外在住経験者の一人として違和感を感じていました。
本書もその片棒をかつぐような内容なのかと思っていましたが、実際に読んでみると、その逆でした(^^)
海外の賃金の高さばかりに目がいってると、痛い目に遭う恐れがあるし、せっかくの機会を活かせないぞ、というアドバイス的な立ち位置です。
この本では、実際にワーホリを活用した人たちに直接インタビューをして、現地に行くまでの準備、現地での生活、そこから得られる機会などをたくさん紹介してくれています。
そしてワーホリは、「稼ぐため」の手段ではなく、「新しい人生をきりひらくきっかけ」にする手段であることを、この本では主張しています。
そしてワーホリを十分活かすためには、「現地の言葉の習得」はかなり重要であることも主張しています。
ワーホリのプログラムの中には現地の言語学校に通って学ぶことも可能。これはこれで、学校で知り合った仲間とのつながりができて有効な機会の一つではあるのですが、やはり事前にある程度勉強をしていく姿勢も必要。
この本ではワーホリの受け入れする国が基本英語圏なので、英語という観点で話ししていますが、ワーホリを受け入れている国はスペイン語圏だったり、ヨーロッパの非英語圏だったり、北欧だったり、韓国だったり、いろいろあります。
つまり、「現地で働く」には「現地の言葉を話せる」ことが「働くためには有利に働く」ということです。
自分の仕事を外国人に手伝ってもらうとき、日本語を話せない人より話せる人の方を採用で優先してしまいますよね。
また現地に行くための「準備」も大切であることを伝えています。
日本では、良くも悪しくもいろいろ”やってくれる”サービスが多いのですが、海外にいけば「自分でなんとかする」という行動力が必要。
つまり滞在先を見つけて交渉したり、仕事先を見つけるなんていうことは自分でやらなければなりません。
このあたりは「社会主義」ではなく、いい意味での「個人主義」「資本(自分のリソースという意味で)主義」の世界だと思います。
そしてそういった”体験”を通じて、自分たちが”生きていける”自信を培うことができるのも大きな魅力と、本書では述べています。
昨今の報道では「現地に行けば、儲かる」的な伝え方をしていますが、ワーホリを含め海外に移住するということは、そんな与えられるものではなく、「自分からつかみにいく」行動力があってこそ、というマインドセットをしてほしい、というのが本書の狙いと感じます。
私も2年ばかり海外赴任をした経験があります。かなりの部分を会社がサポートしてくれていたので、この本で紹介されるほどの行動力を必要とせずにすみましたが、それでも、「自分で動かないと」という面はあったので、本書で書かれていることはかなり共感できる部分があります。
新刊なので、今年の報道をうけて語っているので、時事的にも新鮮です。