知人のSNSに投稿されていたのを見て、興味をもったので購入し読んでみました。
デイル・ドーテン氏が1996年に書き下ろした「The Max Strategy」を2001年に野津智子氏が翻訳したものです。
大雪で閉鎖になった空港で、偶然であった老人”マックス”の問いかけに同様してしまった35愛の”私”。日々の仕事に行き詰まりを感じ、未来に期待感を持てない私に、マックスは一晩だけの講義を開始した・・・。
(本書帯からの引用)
さすが帯の書き方はうまいなぁ(^^)
構成としては、仕事に行き詰まった35歳のサラリーマンが、閉鎖になった空港でふてくされていたときに出会った老人との会話形式になっています。
壁にぶちあたったしがないサラリーマンが、スーパーアドバイザーに偶然出会い、そこから考え方を改めて成長していく流れは、さながらエリヤフ・ゴールドラット氏著作の「ザ・ゴール」シリーズを彷彿させます。
ザ・ゴールが550ページにも渡る大作なのに対して、こちらは180ページと手頃なボリューム。
1ページあたりの密度も16x39文字と高くなく、あっさり読めます。
でも中身はなかなか濃い(^^)
これ、私が前職時代にキャリア面談を受けた時や、開発事業への部署の取り組み方に違和感を感じていたことに、光を当ててくれる本でした。
キャリア面談のときの違和感
毎年1回、上司と1年間のレビューと新年度の自分の役割について面談をするシステムがありました。
このシステム自体はとても有意義なもので、マネージャーがメンバーの状況を把握すること、そしてメンバーのキャリアプランを一緒に考える機会となっておりました。
その際にレビュー、新年度の職務内容、それにこれからのキャリアプランについて記入するシートがあります。
キャリアプランのところにこんな設問がありました。
「あなたは5年後にどうありたいですか?」
いっつもこの設問で困っていたんです。。。
だってイメージできないから(笑)
ものすごくやりたくてその仕事をやっていたわけでもなく、その仕事の延長っていうのもあまりイメージできなかったし、そもそも5年後ってどんな世の中なのか想像できなかったんですね。
本書にこんなくだりがあります。
僕たちの社会では、時間や進歩に対して直線的な見方をしている。(中略)学校でじわじわと浸透させられるんだ。(中略)目標を設定して、それに向かってしなさい、とね」
確かに・・・
目標を決めてそこに向かいなさい!ってよく言われた気がする。
そんな目標というのが仕事をしていて自分のキャリアで考えられなかったんですね。
本書はここでジャブをかまします。
人生はそんなに規則正しいものじゃない
そうだよね〜、って今なら言える(笑)
この本が出た1996年、百歩譲って翻訳がでた2001年にこの本を読んでもピンときてなかったろうなぁ。。。
目標や未来をイメージできない自分はなにか欠落している、とずっと思っていました。
意思が弱いからだ、とか深く考えてこなかったからだ、とか言う声もなくはなかった。
今でもよく聞かれることがあります。
「将来どうしたいの?」
わかりません(笑)
どうありたいか?という問いであれば、
ちゃんと生活ができて、それでいて周りの人達になにかの役に立てていたい
とは思います。
将来何をしているのか、はこの後生きてみないとわからないんです(^^)
この本はそんな私に「そうだ、そうだ」とエールを送ってくれているようです(^^)
本書ではおもしろい問いかけがあります。
きみは、最初に陸に上がった魚は長期に渡る目標をもっていたと思うかね?
開発に”結果”を求めていた経営陣
開発事業にしたって、「それはどれだけの効果が期待できるのか」とか「売れそうなのか」なんて訊くマネージャーのなんと多かったことか。。。
やってみなきゃわからないのが開発なんだから、お金と時間を決めてその間は一切口出ししない、ってできないのかなぁ。。。って前職中は感じていました。
でも力及ばず、それを理解してもらえる力は私にはなかったです。
本書では痛〜いことばがあります。
きみたちの事業は、試してみた結果失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落していたんだ。
猛省です。。。
今思えば、私は会社をやめてから生き方が変わったようです。
「目標(事業計画)作ってそれを遂行する」というスタイルから、「いろいろ試して自分が変わっていく」スタイルに。
それも将来のことは意識せず、今目の前の課題にとにかく一生懸命取り組むことで、どっちの方角にいくかは結果オーライ。
そんなスタイルを求めたから辞めた、というよりは、「まず辞める」ことを試して、その先に出会う課題に応えていこう、と思ったんですよね。
明日は今日と違う自分になる
本書にあるこの言葉が私にとって金言かも。
いろいろ試してみよう(^^)
そして試すことを楽しんでみよう(^^)