48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜卵をめぐる祖父の戦争

 

今回の読書会の課題図書はこちらです。

 

今回は久しぶりに小説でした。

 

著者のデイヴィッド・ベニオフは、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の共同プロデューサーとしての方が有名かもしれません。

 

作家としては、「The 25th Hour(邦題:25時)」で有名になったようで、本作は3作目にあたり、Twitterの「Twitter文学賞 ツイートで選ぶ2010年ホントに面白かった小説」3位をとった作品だったようです。

 

私はゲーム・オブ・スローンズも観ていなかったので、この著者とはある意味初対面でした。

 

 

 

 

著者本人がフロリダに住む祖父母を訪ねます。

 

そしてナイフの使い手で2人のドイツ人を殺したという祖父レフ・アブラモミッチ・ベニオフが経験したレニングラードでの戦争体験の話を聞かせてほしいとお願いをします。

 

そんな場面が7ページほどで描写され、それから祖父の回想録という形で440ページに及ぶ物語が展開されます。

 

レフの話はレニングラード包囲戦がベースになっています。

 

1941年9月からナチスドイツによって当時ソ連第2の都市であったレニングラードが包囲され900日にも渡ったのですが、レニングラードは抵抗し続けついには耐え抜いたという独ソ戦闘のことです。

 

スターリンから後にレニングラードは英雄都市の称号が与えられました。

 

市民の死者は63万人という発表ですが、実際は100万人を超えていたという説があり、そのうち97%が餓死によるものだったとか(Wikipediaより抜粋)

 

著者デイヴィッドは祖父レフからこのレニングラード包囲戦について話をきくことになります。

 

 

 

レフは当時17歳。

 

ドイツ軍の侵攻が始まり、ついに落下傘部隊がやってくるのですが、ソ連の寒さによって落下傘部隊は空中で凍死してしまいます。

 

その凍死したドイツ兵がもっていたものを仲間たちと盗み取ろうとし、ドイツ製のナイフをレフは失敬するのですが、運悪くレフたちはソ連軍に見つかり、途中で倒れた友人を助けたレフは捕まってしまいます。

 

連れていたところで金髪碧眼の脱走兵コーリャと出会います。

 

当時は外出禁止令が出ていて見つかると銃殺されることもあったのですが、どういうわけか秘密警察の大佐のもとへ連れて行かれ、そこで娘の結婚式のために「卵1ダース」を調達してくるよう命令します。

 

不思議な展開ですが、当時は卵1つでさえ手に入れるのが困難な状況。

 

それでも大佐は娘の結婚式にケーキを用意したいということで卵に固執します。

 

期限は5日ほど。

 

雪積もりドイツ軍に攻められているレニングラードで卵1ダースを見つける旅にコーリャとともにでかけます。

 

途中名射撃手であるヴィカという女性と2人は知り合うことに。

 

どういう展開になるかはネタバレになるので差し控えます。

 

 

 

 

この本はレニングラード包囲戦という事実をベースにして小説としての脚色が入った、半分ノンフィクションの小説と言えるでしょう。

 

そして小説を通して戦争の悲惨さを存分に描いています。

 

戦争がいとも簡単に民間人を巻き込み、多くの人生を壊していくかをいろいろなシーンで描写しています。

 

今まさにウクライナの状況がこれに近いのかもしれない、と思うと、戦争というものの罪深さを痛感しますし、戦争行為を平気で行う神経を心底疑いたくなります。

 

タイミング的にタイムリーな選書だったかもしれません。

 

 

 

 

私の父は昭和12年生まれなので、いわゆる太平洋戦争の記憶が残っているようですが、私にはその多くは語りません。

 

昔「芋は当時を思い出すから余り好きでない」と戦中時のことに触れたことがありましたが、それくらいでした。

 

昨年膵臓がんの手術をして十二指腸ごと膵臓の一部を切除しましたが、今はすっかり元気を取り戻しています。

 

そんな父の楽しみは「食べること」だそうです。

 

消化に悪い油ものや弱っている腎臓によくないという塩分を控えるように言われているのですが、「食べる楽しみがなくなったら生きている意味がない」と時々こぼします。

 

戦争の記憶が残っている父からすると、美味しいものを(年金暮らしの父は「安くて」にこだわります(笑))食べられることに幸せを感じているのかもしれません。

 

母は長生きしてほしいからと口うるさく父に注文をします(^^)

 

私は逆に「好きなだけ食べればいいじゃん」と母の小言をだまって聞いている、そんな感じです(^^)

 

 

 

 

小説に話をもどし、若干ネタにふれるかもしれませんが、ふと浮かんだ仮説が1つ。

 

名狙撃手のヴィカはもしかしたら著者デイヴィッドの祖母、すなわち祖父レフの妻なのかな、と。

 

冒頭の7ページには祖母の名前は一切触れていません。

 

しかし、ロシア語に堪能であること、乱暴な言葉づかいをすること、辛辣な皮肉をいうこと、そして料理をいっさいしないことが、ヴィカと重なるんですよね(^^)

 

ここは小説らしく想像を働かせることを楽しみたいと思います。

 

 

 

 

余談ですが、著者デイヴィッド・ベニオフの父は元ゴールドマンサックス会長、元大統領補佐官であったスティーブンフリードマンらしく、彼は1937年生まれ、ということであるから、1941年に17歳だったレフがデイヴィッドの祖父というのは架空の設定と思われます。