久しぶりではありますが、かなり個人的な好みで将棋ネタになります、すみません(^^;;
将棋では今タイトルは「8大タイトル」と言われるように8つのタイトルがあります。
- 竜王:第32期竜王 豊島将之 30歳
- 名人:第77期名人 豊島将之 30歳
- 叡王:第4期叡王 永瀬拓也 27歳
- 王位:第60期王位 木村一基 47歳
- 王座:第67期王座 永瀬拓也 27歳
- 棋王:第45期棋王 渡辺明 36歳
- 王将:第69期王将 渡辺明 36歳
- 棋聖:第91期棋聖 藤井聡太 18歳
(画像:日本将棋連盟ホームページから引用)
その中でも名人と竜王は最も格の高いタイトルと言われています。
竜王は獲得賞金がタイトル戦で最も高く、第30期では4,320万円でした。
名人はそれに次ぐ賞金で名人を防衛すると3,450万円です。
ちなみに先日藤井聡太さんが最年少でタイトルを獲得した棋聖はもっとも順位が下になり、推定700万円くらいといわれています。
竜王は賞金が最も高いということで格が1番となっていますが、それにつぐ名人は安土桃山時代にプロ将棋が生まれたときからあるタイトルで、最も歴史があるタイトルです。
江戸時代は家康に保護された家元が名人につき、明治、大正は当時の実力者におくる名誉タイトルだったようです。
昭和12年になって今の実力制名人になり、今日に至ります。
名人になるには、その予選リーグであるA級リーグ戦で優勝しなければなりません。
多くのプロ棋士がいる中でA級は10人しか在籍することができません。
1年かけて10人の総当たり戦を行い順位を決めます。
下位2人はその下のB級1組リーグに陥落してしまい、翌年名人への挑戦は叶いません。
このリーグですが、A級から順に
- B級1組:在籍13人
- B級2組:在籍25人
- C級1組:在籍37人
- C級2組:在籍52人(2020年8月15日現在)
このC級2組に在籍できないと「フリークラス」となり規定を満たさないとC級2組に上がれません。
プロを養成する奨励会で上位2人に入ると晴れて四段としてプロになり、C級2組に在籍することができます。
リーグ戦は1年かかります。
そして飛び級はないので、毎年いい成績を収めて上のクラスに昇級をする必要があります。
四段でC級2組になり、C級1組になると五段、B級2組は六段、B級1組は七段と昇段し、A級入りすると八段に昇段できます。
そう、なので名人になるためにはプロになって最低5年間勝ち続けないとならないのです。
前置きが長くなりました(^^;;
その名人戦で新しい名人が誕生したのです(^^)
先日藤井聡太新棋聖にタイトルを奪取され、三冠から二冠になってしまったのですが、そのショックをもろともせず、名人タイトルと奪取しました。
驚くことに渡辺三冠にとって、名人位は初めてのタイトル。
なぜ「驚くことに」なのか。
(画像:Wikipediaより引用)
こちら将棋のタイトル獲得回数をWikipediaでまとめられていたものを引用しています。
(十段は竜王の前のタイトルで九段は十段の前のタイトル名です)
今やレジェンドの羽生さんが99回でダントツです。
渡辺三冠は全体でも5位にランクされていて、現役では羽生さん、谷川さんについで3位です。
しかも長年タイトルを保持した人にだけ与えられる「永世」タイトルを2つも持っています。
(羽生さんは新設された叡王を除く7つの永世タイトルを獲得し国民栄誉賞を受賞しています)
羽生さんを除くと現役で永世タイトルを2つ以上持っているのは渡辺三冠だけです。
最も格が高い竜王戦にめっぽう強く、11期のタイトル獲得は歴代1位、しかも9連覇の実績があります。
渡辺三冠は若くから注目されていた棋士です。
- 史上4人目の中学生棋士:過去は加藤一二三元名人、谷川浩司九段、羽生善治九段、そしてその後藤井聡太棋聖で2020年8月時点で5人しか成し遂げていません。
- 19歳でタイトル挑戦:当時は屋敷伸之九段、羽生善治九段に次ぐ3番めの若さでした。藤井聡太が最年少記録を作り現在は4番目の若さ
- 20歳でタイトル獲得:これも当時は屋敷伸之九段、羽生善治九段に次ぐ3番めの若さでした。現在は藤井聡太棋聖の記録更新で4番目の若さ
- 史上最年少九段:現在の段位は九段が最高位。これに21歳7ヶ月で到達。2005年の10月1日から11月30日の僅か2か月で六段から九段まで3つ昇段するというとんでもないスピード。ちなみに藤井聡太は2018年2月1日から5月18日までに四段から七段に3つ昇段してます。
- 2004年に竜王で初タイトルをとって以来毎年何かしらのタイトルを保持し続けていて今年で15年連続です。初タイトル以来の保持記録は歴代1位。
若いときから注目され、現在では今の現役棋士の中にあって最強レベルにある、それが渡辺三冠なのです。
だから「驚くことに」なのです。。。
2000年度:プロになってC級2組に配属
2003年度:C級1組昇級
2006年度:B級2組昇級
2007年度:B級1組昇級
2010年度:A級昇級
少々時間がかかったとはいえ、20代前半でA級に昇級は順調な足取り。
しかしここから伸び悩み、2017年度は年間勝率が5割をわり、竜王タイトルを失い、A級も陥落。
渡辺三冠にとってどん底の1年だったと思われます。
しかし2018年度はB級1組で12戦全勝でA級カンバックを決め、2019年度はA級で9戦全勝で名人挑戦をつかみ取り、そしてそのまま名人位を奪取したのです。
(終わったばかりの名人戦は2019年度のもので、コロナの影響で対局スケジュールが遅れていた)
特に2019年度A級は渡辺三冠の9勝以外は5勝4敗が2人、4勝5敗が6人、2勝7敗が1人だったのでいかにぶっちぎりだったかがわかります。
今のタイトル保持者は、渡辺三冠とタイトル獲得最高年齢記録更新をした木村一基王位を除くと30歳以下と平成生まれの若手。
その木村一基王位は勢い凄まじい藤井聡太棋聖の挑戦をうけて、7戦勝負で0勝3敗とがけっぷち。
若手の台頭が著しい中で実質の第一人者である渡辺三冠が名人を獲得したのは、納得がいく上に、2017年のどん底から立ち直った強さを感じさせます。
きっといろいろなところで頑張ってこられたのだと推察します。
将棋では個人的に羽生さんを応援しておりますが、なんと来月50歳を迎える羽生さん、最も大きなタイトル戦「竜王戦」の挑戦者決定戦まで勝ち上がっています!
三番勝負で2勝を上げると、なんと竜王の挑戦権を獲得するんです。
スキージャンプの葛西選手はレジェンドと呼ばれていますが、羽生さんもまさにレジェンド、若手が主流になりつつある将棋界で奮闘しています。
もし竜王のタイトルを取ると前人未到のタイトル100期獲得達成です。
それと、奨励会で女性初のプロ棋士を目指している西山朋佳さんは、奨励会で順位1位で7勝3敗と好位置につけています。
こちらも楽しみ(^^)
こんな変化の大きい将棋界を会長として引っ張っているのが佐藤康光九段。
会長はかなり激務らしく、歴代の会長はピークを過ぎた人だったり、就任後調子を落としたりしていますが、佐藤九段は未だにA級に残っていてタイトル挑戦でもいいところまできていて、まだまだ強い。
佐藤九段の会長としての役割も今の将棋界の盛り上がりを支えている要素の一つではないかということは追記しておきたいです(^^)