48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

Numberと将棋

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これはちょっとびっくりした(^^)

 

Numberといえば、スポーツを扱った記事で知られており、実際に「スポーツグラフィックナンバー」と本誌はタイトルがついています。

 

それがなんと「将棋」を扱ったのだから驚いたのです(^^)

 

将棋好きの私が興味を持つだろうと知人が買ってきてくれたもの。

 

さっそく目を通してみた。

 

表紙にあるように、主人公は今をときめく藤井聡太二冠です。

 

平成のレジェンド羽生善治を超える存在になるのではないかと囁かれている藤井二冠の活躍ぶりを、いろいろな角度から取材し、藤井聡太という人物を描いています。

 

まずはNumberの記者と藤井二冠の意外なつながりを序章とし、育ててくれた師匠と2代前までの師匠筋からの視点で捉えた藤井二冠の棋風。

 

今の第一人者である棋士たちのインタビューを通じて描写される藤井二冠。

 

佐藤天彦元名人、中村太地七段という三十代前半の強者達から、渡辺三冠、豊島将之竜王久保利明九段、藤井にタイトルを奪われた木村一基元王位などの実力者たちが登場します。

 

昭和の大名人中原誠永世十六世名人、谷川浩司永世十七世名人からみた藤井二冠像。

 

かれらは絶頂のときに羽生善治という怪物の登場で主役を追われた当時の第一人者たちです。

 

そして羽生善治と同世代で現在将棋連盟会長でいる佐藤康光の語りを通じて、昭和の怪人たち、故大山永世十五世名人、故升田元名人、中原永世十六世名人、加藤一二三元名人を忍びながら藤井二冠の棋風にせまる。

 

若手の成長株や女流棋士の第一人者里見香奈女流四冠もインタビューで登場してきます。

 

ユニークなのは、羽生善治にねじ伏せられた2人の50代の棋士のインタビューがあること。

 

これは当時の羽生善治がいかにすごかったかということを2人の棋士が語っているのですが、今の藤井二冠の登場が当時のうねりを感じさせるという、間接的なアプローチをしています。

 

他にも記事があり、伝説の3一銀(※)にまつわる棋譜も紹介されていてかなり幅広い範囲を網羅している印象をもちました。

 

(※)伝説の3一銀:藤井聡太が初めてタイトルに挑戦した渡辺棋聖(当時の肩書)とのタイトル戦第2局で、藤井が魅せた一手のこと。殆どのプロ棋士が差さないと言われた手で、AIでも3億手を読む範囲ではでてこなかったのですが、6億手まで読み込むと最善手として出てきたということで、、AIをも超えているんじゃないかと話題になったんです。

 

こういった雑誌は将棋のコマの動かし方もわからない人たちも手にすることを想定していることでしょう。

 

なので、一般将棋雑誌とはことなり、先程の3一銀の記事以外はほとんど棋譜がでてきません。

 

なので将棋のルールやコマの動かし方を知らない人でも記事として読めるレベルに仕上げていることがすごいです。

 

途中過去20年のタイトルホルダーの変遷も見開きで載せていて、どういう人達がこの20年間で強かったのかということがイメージできるようになっています。

 

ワタシ的にはもっと前の30年前までさかのぼって、まさに羽生善治が初タイトルをとった平成元年から遡ってほしかった(^^)

 

いかに羽生善治が怪物だったかをうかがい知ることができます。

 

こちらWikipediaに一覧にまとめたページがありますのでご参考まで(^^)

ja.wikipedia.org

 

そのWikipediaからの抜粋ですが、1990年代はこんな感じ。

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(画像:Wikipediaより引用)

 

左から、名人、棋聖、王位、王座、竜王、王将、棋王というタイトルです。

 

(現在はさらに叡王というタイトルが加わって8個あります)

 

とにかく平成の羽生善治はすごかった。

 

藤井二冠はそれをも凌ぐんではないか、という期待感が一般ファンならず、棋士の間でも話題になるくらいのフィーバーなんだそうです。

 

戦前の昭和12年まではタイトルは家元制による名人しかなかったのですが、木村義雄昭和13年に初代実力制名人になってから、強いものがタイトルを取る、というルールに変わります。

 

戦後直後までは初代実力制名人の木村義雄の時代。

 

昭和25年あたりから昭和46年くらいまでは大山康晴永世十五世名人の天下。

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(画像:Wikipediaより引用)

 

昭和40年代後半から昭和の終わりまでは中原誠永世十六世名人中心。

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(画像:Wikipediaより引用)

 

平成に入って谷川永世十七世名人が頭角を表すのですが、それを押しのけて平成時代を牛耳ったのが羽生善治永世七冠、というのが大まかな将棋の勢力図です。

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(画像:Wikipediaより引用)

 

平成の終わりから渡辺明三冠が出てきて、歴代2位の17年連続タイトル獲得(1位は羽生善治の29年)を達成しまだ継続中で、現時点では第一人者の呼び声が高いです。

 

羽生善治渡辺明藤井聡太はいずれも将棋界で5人しかいない中学生デビュー棋士です。

 

中学生デビュー棋士とは、中学生でプロと認められる四段に昇格した棋士のことで、他に加藤一二三元名人、谷川永世十七世名人で、藤井二冠以外は全員名人を獲得しています。

 

若いうちに厳しい経験を積むことが有利と言われるようになってきた将棋界にあって、最年少記録をことごとく塗り替えてきた藤井二冠のこれからがますます楽しみです。

 

 

 

将棋を知らない人でも藤井二冠を通じて興味をもってもらえそう、そんな一冊になった気がします。

 

やるなぁ、Number。