ある休日の午前中、妹から電話がかかってきた。
「ちょっとビデオにできない?」というリクエスト。
何かと思ったら、妹の家族で父方の墓参りに行ってくれたらしい。
そこからリモートでお墓参り、とのこと(^^)
なかなか味なことやります。
「はい、画面から手を合わせて〜」という妹の呼びかけで久しぶりにお墓を拝むことができました。
一緒にいた両親にもそれを見せて、リモート墓参りが完了。
そういえば最近行っていないなぁ、と両親と話していたら、また妹から母に電話。
すると墓石に父の兄、すなわち私にとって叔父の名前が刻まれている、とのこと。
日付をみたら3年前だったそうです。
母は驚いておりましたが、弟である父は比較的冷静に、「あ、そうか」と言っただけでそのままテレビを観ていました。
父は、その母すなわち私にとっての祖母が亡くなったときに、実の兄と遺産相続の件でもめてそれ以来絶交状態が続いていました。
もう30年も前の話で、当時は私には細かいことは話してもらえませんでしたが、父に言わせると叔父は誰かにそそのかされてこんな騒動になった、と言っていたそうです。
父としては、自分の知っている兄ならばこんな行動は絶対に取らないと信じており、兄よりむしろそそのかした人が許せない、という気持ちだったようですが、残念ながらそこで兄弟のつながりが途絶えてしまったようなんです。
父も普段から叔父に対する関心は一切示しませんでしたし、この日も話をきいてさしたる動揺をみせたわけではありません。
私が小さい頃はこの叔父に大変かわいがってもらいました。
お年玉は親戚の中では一番額が大きかったので、それだけで叔父のことが大好きでした(笑)
子供ながらにすっかり買収されていました(^^)
叔父には3人の子供、私にとってのいとこがいて、全員年上だったので彼らにも小さな弟のようにかわいがってもらいました。
小学生の時に叔父といとこたちに麻雀を教えてもらい、その面白さにすっかりはまってしまいました。
正月に父方の親戚が集まると必ず麻雀。
百戦錬磨の叔父たちにはかなうはずもなく、いつもこてんぱんにやられて半べそをかくのが毎年の恒例行事のようでした(^^)
ただ先程の父と叔父の争いがおきてからは、いとこ同士も自然と繋がりが消えてしまいました。
計算すると、今の父より2歳ほど上の年齢で亡くなったようです。
この話を聞いた父はどんな思いだったのだろう。
絶交状態の兄になんの思いもなかったのだろうか。
それとも在りし日の兄弟の仲を思い出していたのだろうか。
それとも自分の今の年齢と重ね合わせ来る老いを感じたのだろうか。
とても気になるのですが、一方でとても父には訊けないな、とも。
父の人生のものすごく繊細なところに無造作に触れてしまうんじゃないかという怖さ。
父が語りたいと思うまで待とうかな。
やや猫背気味に低いテーブルに腰掛けてテレビを観ていた父の後ろ姿が、なんとなく寂しそうに感じたのは私の勝手な妄想のせいかもしれません。