今回の課題図書はこちら、「「利他」とは何か」。
著者が伊藤亜紗氏始め5人います。
これは「利他」について様々な専門領域の視点から分担して記述したためで、5つの章という形で編集されています。
第1章は伊藤亜紗氏が「ケア」という視点から。
第3章は若松英輔氏が民藝という視点から。
第4章は國分功一郎氏が中動態という枠組みから。
第5章は磯崎憲一郎氏が小説の作者という立場から。
この5人は人文社会系研究拠点「未来の人類研究センター」のメンバーで「利他」という課題について議論をし合う関係という共通点があります。
伊藤亜紗氏は以前この読書会でも取り上げたことがあります。
実際本書を読んでみて伊藤亜紗氏の記述が一番わかりやすかった気がします。
「利他」とは何か。
この根本的な問いかけから始まります。
私達の中には「利他」ときくと、「(他)人のために利する行為をすること」というイメージがあり、「自分のため」という意味の「利己」と逆の意味を成す、という認識を持っている人が少なくないのではないかと思います。
私もそうでした。
本書はまず、その”先入観”から壊されます(^^)
「人のため」と言いますが、「人のため」と「自分が信じている」ことを「人に強要」していませんか。
という問いかけはぐさっときます^^;;
「人のため」といいながら、「人のために行動をすればいずれ自分にいいことがある」と思っていませんか。
すなわち「人のため」という「利他」は、実は「いつか自分にいいことがあること」を期待している「利己」そのものである、みたいなことを言われると、「あ〜・・・」と言葉を失ったり(^^)
何か人にしてあげたときに「ありがとう」と言われて嬉しいと思いますか?
それって、「ありがとう」と言ってもらうことが自分へのご褒美になっていて、「人のために」することが「ありがとう」と言われるご褒美を期待しているとても「利己」的な行動かもしれません。
これは第1章の伊藤亜紗氏がとあるインドでの体験について紹介してくれたエピソードを見て感じた感覚です。
私は「ありがとう」という言葉が好きです。
だからよく使う言葉でもあります。
それは裏を返すと「自分も”ありがとう”と言って欲しい」という欲求の裏返しではないか、そしてそれは自分を満たしたいという欲求でもあり、とても「利己」的な行動の現れでないか、そんなことを考えさせられました。
「利他」でなければいけない、ということを言っているのではなく、純粋に「利他」ってどういうことなんだろう、ということを考えるきっかけを与えてくれる本です。
簡単に「利他的」とか「利己的」とかいえないなぁ。。。^^;;
さて番外編ですが、今回の読書会およそ2年ぶりにリアル開催しました。
朝7時から駅構内で会いているカフェとして、以前はBuldigala Tokyo(ブルディガーラトウキョウ)を利用していましたがコロナ禍で店内はテイクアウト仕様に改装されてしまったので、新たに開拓しなければなりませんでした。
主宰が探してくれて同じ東京駅に発見。
丸の内地下南口の近くです。
モーニングセットもあり、私は卵サラダとトーストのセットを注文。
これで510円。
パンは普通の食パンではなく黒糖のようなちょっと甘い味がしました。
今回は4名の参加。
オンラインで顔を合わせているせいか、あまり久しぶり感がなかった(^^)
リアルだと意見交換がしやすいですね。
とはいえ、オンラインのときより1時間早く起きなきゃいけなかったのはちと辛かった(笑)