年頭にも申し上げましたが、少しでも教養の足しになればという淡い期待を持って「岩波100冊プロジェクト」をスタートしました。
岩波文庫は1927年に当時の教養・啓蒙主義のもと、ドイツのレクラム文庫を模範とし、書物を安価に流通させ、より多くの人々が手軽に学術的な著作を読めるようになることを目的として創刊された日本初の文庫本だそうです(Wikipediaより引用)。
現在は古典的価値を持つ書物をあつかうレーベルとして独自の存在感をだしています。
発行は岩波書店。
この岩波100冊プロジェクトは基本岩波文庫を軸にしようと思っていますが、一般啓蒙書として位置づけられている岩波新書も含めて、100冊読んでみようというもの。
過去に読んだものもあるのですが、きっと忘れているので(笑)それも改めて読み直してみようと思います。
第1冊目に選んだのがこちら、「風姿花伝」です。
能の先駆者である世阿弥が能という芸能をそれまで口伝だったものを、初めて書という形にまとめて後世へ伝承しようと残したものです。
能の話なのですが、ジャパネットたかたの高田元社長など多くの実業家などが「この風姿花伝には学ぶことが多い」という講評があり、多くの関連本も発行されているようです。
世阿弥といえば1300年後半から1400年半ばまでの期間に活躍した人。自然と文章は当時のものになるわけで、いわゆる古文です。
そのため、風姿花伝は「現代語訳」として出版されているものも数多くあり、内容をより早く確実に知るには当然のことながら現代語訳を読んだほうがいいのですが、「岩波で読む」ということにこだわって(笑)古文に挑戦。
学生時分から古文は苦手で^^;;やはり本書もかなり苦戦。というか、ほとんど読んだだけではわかりませんでした。
きっと中身を把握するにはちゃんと現代語訳を読むか、NHKの「100分de名著」のような解説本でも読んだほうがいいんでしょうね。
中身はあまりよくわからなかったのですが、不思議と文章にはひきつけられました。
それはなんというか「リズム」。
なにか能の舞を観ているようなリズム(能はあまり観たことないのですが)を感じて、意味はわからずともなんともここちいい響きなんですね。
世阿弥の高い文章能力のおかげなのか、古文そのものがそういうリズムを有しているのかわからないのですが、不思議な感覚でした。
本書は集中力が続かず、きざみきざみ読んでいたのですが、全部で120ページほどしかないし、文章自体も短いので、本来はまとまった時間で一気に読む、すくなくとも1章単位は一気に読むとなにかもっと感じ取れることがあるのではないか、と思いました。
本を読んでいてこんな感覚は初めてだったので新鮮です。
本を読むことでその中身について学んだり、知ったり、内容を楽しむだけでなく、こんな楽しみ方もあったのか。
余談ですが、この風姿花伝、岩波文庫青シリーズの1−1と、一番最初の番号がふられています。
岩波文庫は色によって以下のようにジャンルが別れています。
青:日本思想、東洋思想、仏教、地理、歴史、音楽、美術、哲学、教育、宗教、自然科学
黄:日本古典文学(江戸時代まで)
緑:日本近現代文学
白:法律、政治、経済、社会
赤:東洋文学、海外文学
さあ、岩波100冊プロジェクト始まりました(^^)
岩波100冊プロジェクトリスト
1 風姿花伝