岩波100冊プロジェクトの3冊目は前回からの続きでパール・バック作の大地(二)。
岩波文庫で4冊に渡って続く大地。第1巻は貧しい農民王龍(わんるん)が少しずつ土地を手に入れて最後は妾も囲うくらいの大金持ちになったのだが、死の直前に2人の息子が大事な土地の売却を画策する、というところで終わりました。
第2巻は、王龍の3人の息子に焦点があたります。
長男王一(わんいー)は、父親から地主のポジションを引き継ぎます。子供のときから学校にいっていたこともあり、都会的生活をし有り余るお金を湯水のように使い遊ぶ放蕩息子。良家の出身である妻に頭が上がらない恐妻家。
次男王二(ワンアール)は、算術の才があり早くから投資活動を始め、父親が獲得した土地を、小作人に貸したり、持っている資産を高利で貸し付けたりして財をなしていきます。妻は田舎出身でワンアールの母親に似ています。
三男王三(わんさん)は、父王龍が自分の跡継ぎとして農民にしたがっていたのだが抵抗して家を飛び出し、軍人となっていました。虎のような形相であったことから王虎(ワンフー)とあだ名されます。
この3人をめぐって様々なことが起こるのですが、3人共癖が強くて、長男のダメっぷりと、次男のずる賢さと、三男の融通の効かなさが、まあ噛み合わない(笑)
第2巻で唯一落ち着けるキャラは、王龍の2人目の妾となった梨花(りほう)ぐらいなもので、3人の息子、その子どもたち、妻、妾、どいつもこいつもまあ、ダメキャラばかりです(笑)
そんなキャスティングですが、第2巻の主人公をあえて言うならば三男の王虎かな、というのが私の印象です。
舞台は清王朝が倒れる時代で、まさに革命でこの国のトップにのぼりつめるという野心をもった人物が割拠しており、王虎もその1人としてまさに在野から立ち上がっていくステージにあります。
大地の特徴の一つが、この時代の中国の人たちを実に細かく描写していること。
農民、富豪、商人、役人、匪賊(いわゆる山賊みたいなもの)、軍人、妾、奴隷などなど。。。
葬式のときの泣き方が3通りあるなんて、住んでいなかったら絶対わからない文化でしょうね。
第1巻では、王龍が”大地”である土地を手に入れて成り上がりました。
第2巻では、王龍が獲得した土地を手放して銀貨に替えて長男は遊興費に、次男は運用に、三男は革命にとそれぞれ活用していきます。
”大地”から離れていくストーリー。これが第3巻以降どう展開していくのか。楽しみです。
岩波100冊プロジェクトリスト
1 風姿花伝 青1-1
2 大地(一) 赤320-1
3 大地(二) 赤320-2