父が残した北海道のマンション。当初は父が利用する施設にかかる費用へ充当することを目的としていました。
父が亡くなってその目的はなくなりましたが、固定費もそれなりにかかることや、母自身も高齢で長期間1人で北海道に滞在することはないだろう、という母の判断もあり、売却の動きを止めずにすすめています。
もちろん相続手続きをしないと売却ができませんが、これは粛々と進めるとして、国税局に勤めている妹の旦那さんから、売却における税金の計算について指南を受けたので、備忘録を兼ねてまとめてみます。
こちらの記事もご参考まで。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2022/pdf/O/O12.pdf
売却すると税金がかかる
売却した額が購入した額を上回ると、その差額が「譲渡益」となって税金がかかる仕組みです。
[売却で得た収入] ー [購入でかかった費用] = [譲渡益]
これがまず軸となる考えになります。
売却で得た収入
不動産を売却するにあたり、それにかかった費用を差し引いて「実質売却で得られた収入」を計算します。
[売却額] ー([仲介手数料]+[印紙税]+[登録免許税]+[司法書士報酬費]など)
= [売却で得た収入]
購入でかかった費用
購入にかかった費用には、購入価格だけでなく、購入にあたってかかった費用も加算することができます。
[購入費用]+[仲介手数料]+[印紙税]+[登記費用]+など = [購入でかかった費用]
ここまでは「得た収入」から「かかった費用」を差し引くという考えでいいので、わかりやすいかもしれません。
ここから不動産取引の独特のルールがでてきます。
ざっくりいうと、長年利用しているとその資産の価値は目減りしていくだろう、という考え方です。不動産の場合、土地ではなく建物にその考え方を適用します。
なので、土地と建物の購入価格を別々に準備します。
[建物の購入価格] x 0.9 x [償却率] x [経過年数] = [減価償却額]
※ 償却率は木造:0.031、木造モルタル:0.034、鉄筋コンクリート:0.015といったように建物構造で決定されています。(詳細は先程のURLのリンクを)
※ 経過年数は6ヶ月未満は切捨。
つまり、購入価値は昔とは違って今は目減りしているよね、ということで、[購入でかかった費用]からこの[減価償却額]を差し引かなければなりません。
ということで、譲渡益の計算は
[売却で得た収入] ー [購入でかかった費用] = [譲渡益]
から
[売却で得た収入] ー ([購入でかかった費用] ー [減価償却額]) = [譲渡益]
と減価償却を加味することになります。
この点を妹の旦那さんに教えてもらいました(^^)
控除
先程の減価償却は、売却側からすると不利な方向でしたが、一方で有利な方向として「控除」があります。
これは「居住用の不動産」に対して適用されます。
つまり、「日常生活をしていた不動産」を売却するときには、譲渡益に対して控除が発生するということです。
売却益が出た場合は、
・居住用財産を売却した場合の 3,000 万円の特別控除の特例
売却益から3,000 万円を差し引いてマイナスになれば非課税
・所有期間が 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例
売却益が6,000万以下なら所得税は10%、6,000万超なら15%
(10年以下の所有の場合は所得税は30%です)
・特定の居住用財産を売却した場合の買換えの特例
売って得たお金で別の不動産を買った場合は課税対象からはずすよ、というもの。厳密な意味についてはリンクしたURLをご参照ください。
すると、譲渡益は
[売却で得た収入] ー ([購入でかかった費用] ー [減価償却額]) = [譲渡益]
から
[売却で得た収入] ー ([購入でかかった費用] ー [減価償却額]) ー [特別控除] = [譲渡益]
となります。
我が家は、長期間”居住”はしていなかったのでこの特別控除は受けられません。残念(^^)
税金
こうやって算出された譲渡益がプラスの場合は、それに対して税金がかかります。
所得税:5年以下の所有は30%、5年以上の所有は15%、10年以上の所有かつ居住用かつ売却益が6,000万円以下なら10%
住民税:5%
Excelでこれまでの記録を入力して、売却後の税金と手元に残る額が計算できるよう準備完了(^^)