48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

リーマンショックから15年

2008年9月15日(月) リーマン・ブラザーズが破産申請をした、いわゆる「リーマンショック」の日です。

 

あれから15年たったんですね。

 

リーマンショックについては以前いくつか本を読んだり、関連映画を観たりしたことをこのブログでもご紹介させていただきました。

 

www.almater.jp

 

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NHKでもリーマンショックを扱った番組がいくつかあったようです。

 

NHKのBSで「エラー 失敗の法則」という番組でも取り扱っていました。

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リーマンショックは直接的には、当時全米4位の投資銀行であったリーマン・ブラザーズが破産したことをさしますが、内容としては金融ゲームの破綻で、それまで価値があると思われていた債権が突然価値を下げるあるいは失うことで、担保能力がなくなってしまい、お金の流れに急ブレーキがかかったもの、というのが私の理解。

 

その原因は、サブプライムローンを元にした証券の乱発にあるのですが、恥ずかしながらどうもそのメカニズムが、本や映画をみても理解ができていなかったんですが、この「エラー 失敗の法則」でわかり易く説明してくれてやっとイメージできました。

 

サブプライムローンは、低所得者向けの住宅ローン。

 

低所得者向けなので、「返済できない」というリスクが伴うため、ローンの利率は高く設定されています。ちゃんと返済されれば、利率が高い分収益があがります。万が一返済されなくても、担保となる不動産を差し押さえて売買価格より高く売れれば、元がとれるどころか利益がでます。

 

これは、当時の米国では不動産価格が右肩上がりだったために成立した仕組みです。

 

米国が1994年以降マイホームを持つことを推奨してきたという背景もあります。

 

つまり「返済されないリスク」が本来あるのですが、そのリスクが事実上ない、ということでローン会社は、審査を甘くしてでもどんどん貸し出します。本来マイホームが変えないような人も買えちゃうので、不動産バブルが発生します。

 

これに目をつけたのが投資銀行会社。ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーJPモルガンリーマン・ブラザーズベア・スターンズメリルリンチバンク・オブ・アメリカなどがトップ企業でした。

 

ローン会社からローンの回収を引き受ける、ということでローン会社からそのローン契約(すなわち債権)を買い取るんですね。ローン会社は、返済不能に直面するリスクがなくなるので、喜んで売りました。

 

ローン会社はこれでリスクを投資銀行会社に受け渡すことになります。

 

次は投資銀行会社です。この買い取ったローンの債権は、先程も書いたようにちゃんと返済されれば高利率、返済されなくても担保物件の売却で回収できるという”美味しい”債権です。この”債権”を”証券”という商品に変えて色を付けて、投資家に売り出したわけです。つまり、「年の利回り◯%ありますよ」という具合に。

 

投資銀行会社は、投資家に年間◯%の配当を渡しても、住宅ローンの利率自体が高いので、その差分が利益になるんですね。

 

これに加担したのが格付け会社投資銀行会社が作ったこの”証券”を「信用できる」とガンガン高い評価をつけていったんです。

 

さらに投資銀行会社はこの”証券”と”証券”を組み合わせて新しい”証券”を開発し販売して、金融商品をどんどん拡充していきます。格付けは組み合わせるたびに複雑になっていきます。

 

こうして、「ローンが返済されない」というリスクは、ローン会社から投資銀行会社にうつり、最後は証券を買った投資家に渡りました。

 

このときの”リスク”は、不動産価格が上昇し続けている間はまったく見えません。ローン返済できなくなっても高い値段で担保の不動産が売却できることが見えているからです。

 

値上がりが確実な株があるとしたら、買いますよね(^^)

 

ところが、2006年ころ、ついに不動産価格が下落を始めます。すると返済不能になった債権は担保となった不動産を売っても赤字になってしまいます。さあ、リスクが露見しました。

 

多くの投資銀行は不動産債権の規模の縮小に走ります。しかしリーマン・ブラザーズ逆張りで「みんながそっち行くなら、その逆を行って1人勝ちする」という”リスク”をおって、逆にサブプライムローン関連証券の事業規模を拡大します。

 

結果的にはこれが裏目に出た、というのが大枠の流れのようです。

 

もうご存じの方にとっては「何をいまさら」の話かもしれませんが、私にとってはなかなか理解できなかった流れなので、ご容赦を(^^)

 

 

 

さて、番組は経営学者の入山章栄氏と、当時リーマン・ブラザーズの受け入れ先候補だったイギリスの投資銀行会社バークレイズに勤めていた富田敦彦氏による議論で構成されています。

 

リーマン・ブラザーズは失敗だったのか?:ビジネスは常にリスクをとることでリターンを大きくするもの。リーマン・ブラザーズもある意味ビジネスをやっていたにすぎない、という見方。

 

アメリカ合衆国リーマン・ブラザーズを救わなかったのは正しかったのか?:同じ年の3月に投資銀行会社第5位のベア・スターンズJPモルガン・チェースに買収されるときに公的資金を投入し、国民が大きな非難をうけたことが大きく影響し、リーマン・ブラザーズでは公的資金を投入しないという判断をしますが、その後のAIG破綻危機とのときは850億ドルの融資をしています。ちなみにリーマン・ブラザーズが必要としていた救済額は400億ドル。

 

この姿勢のブレ、についての指摘がありましたが、富田氏によると「日本は政府は完全であるべきという要求が強い気がする。政府も人間がやっているので間違いはある、という見方がアメリカにはあるように感じる。なのでブレがあったとしてもそれはそれ、という見方がある」と言及していました。面白い観点でした。

 

またアメリカ政府もリーマン・ブラザーズ破綻後の影響を軽視していたかもしれない、という意見交換もありました。

 

リーマン・ブラザーズの支援に必要だった額は400億ドル。リーマン・ブラザーズの破綻によるリーマン・ショックでの経済的損失額は7000億ドルと言われています。

 

確かに結果だけみれば、「失敗じゃないの」というのは簡単。

 

でも判断するのは、その時点でしかできないわけで、簡単に「失敗」と断じるには抵抗を感じるところもあります。

 

まさに私が前職のプロジェクトで経験したことに重なるところもあり、ますますこのリーマンの件に興味をもったかもしれません。

 

このNHKの番組をみたあと、もう一度観てみよう、と今年2回目のアマプラ(Amazon Prime Video)をみました。

 

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「リーマンブラザーズ最後の4日間」は、リーマンショックの流れをある程度知ってから観るとより味わい深いです。

 

財務省のポールソン、メリルリンチバンク・オブ・アメリカJPモルガンゴールドマン・サックス、ブラックストーンなど当時のトップ投資銀行との絡みが実によく描かれている感じです。

 

メリルリンチの動揺もよく描かれています。

 

9月12日の金曜から破産宣言までも15日までのたった4日間ですが、濃厚な駆け引きがものすごいスピードで描かれていることで1時間の枠に収まっている印象です。

 

(画像:NHKホームページより引用)