今回の課題図書はこちら。
著者の為末大さんは、スプリント種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得、男子400メートルハードルの日本記録保持者でもある著名なアスリートです。
この本では、熟練にむかっていくステップを5つに分解し、わかりやすく言語化してくれています。
1 遊
2 型
3 観
4 心
5 空
それぞれ漢字1文字で表現されていて、ある程度のイメージを持ちやすいのも特徴。
ざっくりいうと、
夢中になって”遊ぶ”ことを通じていろいろな体験をし、その道を楽しめる下地ができる「遊」。
そこに、”基本”や”パターン”を覚えることで、バラバラだった知見や技術が束ねられてきて、ある一定レベルのことに体が反応するようになってくる「型」。
段々と視座があがってきて、取り組んでいることを俯瞰できるようになり、部分、関係、構造を理解できるようなる「観」。
”中心”に目が行くようになり、余計な力が抜けて肝心なところに力を集中できるようになり、自分が無意識に動いている感覚になる「心」。(ただし”動こう”とするときはまだ意識が必要)
意識から解放され”我を忘れる”境地に入る「空」。
為末さんは本書で「人はいつまでも学び、成長できる」という副題をつけていますが、決して誰もがウサイン・ボルトや大谷翔平や井上尚弥やイアン・ソープや藤井聡太やマイケル・ジャクソンになれるわけではない、と言っています。
すなわち、人それぞれの得意・不得意があって、”才能”の存在も認めています。
それでも、”その人”として成長していくことは十分可能性がある、として、その一般的なステップを体系的にまとめ言語化してくれたのが本書です。
「好きこそものの上手なれ」を啓蒙書にしたようなイメージでしょうか(^^)
以前このブログでも「夢中になれることを探したい」と呟くことがしばしば。
第1段階の「遊」を体験するには、やはり好きなこと、好奇心をくすぐるもの、かかわってみて楽しく思えること、という要素があるといいですよね。
子供の頃なら野球でした。当時はちょっと周りよりは上手だったほうかもしれませんが、その後の「型」の段階でうまく行かなかったかもしれません。
当時大谷翔平や藤井聡太のような思考、気持ちがあれば展開は違ったかもしれませんが、それは”ないものねだり”で(笑)ないなら、ないなりにいくしかない(^^)
人生(健康寿命)100年を若い時から標榜している自分としては、いろいろガタがきている体だけど、これから40年以上もあるわけで、そういう意味では、今から「遊」からスタートしてもいいのでは、と思ったりします。
今から始めて、この5段階を順に進み、自分の生活が豊かになり、さらに誰かの役に立てるようになればいいなぁ、な〜んていう妄想が浮かんできてます(^^)
気持ちが前向きになりました。
私のような凡人には、こうやってわかりやすく言語化してくれる本はとてもありがたいです。今のところ今年読んだ本のベスト5に入ってるかな、という印象です。