先日一部の界隈で取り上げられていた記事。
将棋のトップ棋士の一人渡辺明九段が自身のX(旧ツイッター)に投稿した内容が取り上げられていました。
NHKのクローズアップ現代という番組に出演した渡辺九段がMCの桑子アナからの質問に対して「さぁ」とそっけない返事をしたことへの釈明です。
昨日の番組最後でまともに答えなかったのはウケ狙いではなく機嫌が悪かったからです。どれだけ答えようが、もらうお金は変わらないので別にいいんですけど、質問、それだけ?もっと話せたのにな、竜王戦の展望だって、第1局を自分は3日間現場で見てるのに聞かないんだ?そもそも、そのこと自体把握して…
— 渡辺 明 (@watanabe_1984) 2023年10月18日
これがそのXの投稿。
ちなみに渡辺九段は歴代タイトル保有回数第4位で、藤井八冠がまだタイトルを取る前に3つのタイトルを保有していた実力者です。
将棋が強いだけでなく、トークもユーモア交えつつわかりやすく軽快なことから多くのメディアに露出している棋士の一人です。Youtubeなどにもよく出ています(^^)
一方クローズアップ現代という番組は、時にはNHKらしからぬ(笑)政府批判を展開するなど社会問題に焦点をあててわずか30分の中でわかりやすく深掘りすることで定評のある番組。
そんな渡辺九段とクローズアップ現代が、放送事故か、と思わせるようなことをしでかしたって、どんなことしでかしたんだ?とまずはNHKプラスで視聴してみました。
番組は藤井八冠の誕生の裏側に視点をもってきた構成。八冠を決めた王座戦第4局でおきた大逆転劇はどうして起こったのか、対戦相手だった永瀬王座(当時の肩書)の人物像にも触れつつ、永瀬九段(現在の肩書)の心境にせまります。
ここまでで全体の尺27分のうち半分以上の15分をあてています。
ここから渡辺九段と藤井八冠の師匠である杉本八段(モニター越しでの登場)が登場します。
そして2人にこの大逆転劇についてのコメントを求めます。これで2分半。
さらに、藤井八冠が唯一研究会として練習相手にしている永瀬九段との練習風景やお互いの棋風について師匠の杉本八段が解説。これに2分半。
んで、ここから渡辺九段と藤井八冠とのこれまでのタイトル戦や、今回と同じように渡辺九段が大逆転で藤井八冠に敗れた対局の紹介を通じて、渡辺九段の視点で藤井八冠はどういう棋風なのか、どんな戦い方をするのかという解説が入ります。これで3分半。
残りは3分半です。
藤井八冠は八冠獲得後も休むまもなく、竜王戦の防衛戦が始まっています。
藤井八冠の今後のスケジュールや竜王戦の挑戦者である伊藤七段について簡単な紹介があり、杉本八段が伊藤七段の将来性(藤井八冠と同い年!)について解説が入ります。これで2分半。
そう残り1分になって、騒ぎとなった「さぁ」がでます。
桑子アナが「藤井八冠とどう戦っていくのか」と質問をしたところ、渡辺九段は苦笑いをしながら「さぁ」と答えるのです。
桑子アナが「さぁ、ですか(笑)あはは。もう少しいただけますか」と笑いながらもう一度渡辺九段に振ります。
渡辺九段はそこで「自分がタイトルを持っていたときなら、藤井さんを待っていればよかったのでどう戦うかを考えたが、今は藤井さんがすべてのタイトルを持っていて、自分はまず挑戦者にならないと(藤井さんと)戦えない。だから、いまどう戦おうかということはアタマから外してしまった」と説明。
そこで桑子アナが「またそこで再び浮かび上がってくることはありますか」と問いかけたところで、渡辺九段が二度目の「さぁ」がでます。
ここで残り10秒という尺だったこともあり、桑子アナは「これからも楽しみにしているのでがんばってください」と締めの挨拶をして、モニター上に映されている杉本八段の苦笑いに一瞬カメラが飛んで、番組は終了。
なるほどね。
実はこの番組、元々は1週間前に生放送で放映されていたのですが、宮古島の緊急自身放送のため中断してしまったんですね。そのため、生放送だったところを収録に切り替えて翌週放送、ということになったそうです。
なるほどね。
自分としてはもう一度挑戦者になるために戦い抜こうと意識を持っていたところにこの質問は、神経を逆なでしそうです。
最後の質問としてはNHK側にもうひと工夫する余地があったように感じました。
渡辺九段は、まあ頭の回転がめちゃくちゃ早い人です。
NHKはNHK杯という将棋界としては大事な大会を運営しているスポンサーでもあり、Xへの投稿はそこへの批判はひっこめて「自分の機嫌が悪かったから」ということで、収めようとしている雰囲気を感じます。
後日渡辺九段はさらにXで追加投稿して、自省の弁を公開して事態の収拾を図ろうとしています。
たくさんの励まし、ご意見、ありがとうございました。自分が怒りやすいこと、面倒なやつであることを改めて自覚しました。
— 渡辺 明 (@watanabe_1984) 2023年10月18日
今後は周りに迷惑をかけないように心掛けて、受けた仕事は誠心誠意、取り組みたいと思います。
後日民法で藤井八冠誕生の特集で2時間の特別番組がゴールデンタイムで放映されましたが、渡辺九段はそこにも出演していて、たくさん解説してくれていました。
奥さんが伊奈めぐみさんという漫画家で、ご主人が主人公の『将棋の渡辺くん』を別冊少年マガジンで連載しています。
元来サービス精神がたっぷりあって、将棋の普及活動にも熱心で、それでいて史上5人しかいない「中学生棋士」(中学生でプロ棋士の四段になること)の1人で、タイトル獲得数は歴代4位、竜王九連覇と文句なしのトップ棋士の1人の渡辺九段。渡辺九段の世代では、実績は渡辺九段が1人突出しています。
5回あったタイトル戦(棋王戦はタイトル取られた翌年に挑戦者になった!)は藤井八冠に3勝17敗!完全に天敵となってしまった感があります。
藤井八冠に剥がされるよにタイトルを奪われていったときは、メンタルやられるんじゃないかというくらい辛かったことと察します。4つも取られましたからね。
今回の件があって、逆に応援したくなりました(^^)今度は挑戦者として、藤井八冠というラスボスを倒しに登場してほしいです。
とある日の昼食。豚ロースは塩麹につけてからソテーにしてみました。