48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜友情を哲学する

 

 

今回の読書会の課題図書はこちら、「友情を哲学する」でした。

 

「七人の哲学者たちの友情観」という題が付随しているように、7人の代表的な哲学者がそれぞれの視点で「友情」を定義しようとしています。

 

どんな哲学者でしょう(^^)

 

アリストテレス

カント

ニーチェ

ヴェイユ

ボーヴォワール

フーコー

マッキンタイヤ

 

この7人です。ニーチェまでは知っていましたが、ヴェイユ以下の哲学者は残念ながら知りませんでした^^;;

 

本書のユニークなところは、それぞれの哲学者がかたる「友情」の定義にマッチする日本の有名な漫画が取り上げられているところ。

 

例えば「友情の哲学」の祖ともいえるアリストテレスは「自律的な個人による愛の関係」として友情をとらえ、「一心同体ともいえる関係」「愛によって結びつく関係」が該当するとしています。そんな友情を表している例として、キングダムがあげられていました。

 

ただアリストテレスの定義ではいくつか矛盾な面が見えてきます。

 

その一つに対して新たな見解をだしたのがカントです。「愛」だけではむしろ友情を破綻してしまうことがある、として、「自律的な個人による関係」であることはアリストテレスを受け継いでいるのですが、「愛だけでなく、加えて尊敬によって結びつく関係」が友情である、としました。カントの友情を表している漫画として紹介されていたのが「HUNTERxHUNTER」です。

 

アリストテレスとカントが「自分と同質」な人同士に友情が生まれるのは「”私”が友達のことを理解している」ことを前提にしているのに対し、友達である2人を超える何かが友情である、とそれまでの前提を否定し、自分と異質な人同士にも友情は存在する、としたのがニーチェです。ライバル同士の友情のような関係です。紹介された漫画は「NARUTOーナルトー」です。

 

ニーチェと異なる展開を見せたのがヴェイユ。友達への純愛を突き詰めることで本当の友情が生まれる、と主張。重力という概念がキーとなるのですが、詳細は本文で(^^)そんなヴェイユの解く友情を表した漫画として「3月のライオン」が紹介されていました。

 

アリストテレス、カント、ニーチェの友情論は、実はいずれも「男性の関係」を語っているそうです。極端なことをいえば「女性の友情」は男性のそれより劣る、という味方をしていたんだとか。そ〜んなことないでしょ!と異議をとなえたのがボーヴォワール。「君に届け」という漫画が紹介されていました。

 

じゃあ、男女の友情はあるのか。恋愛と友情は違うのか、そういう論点につっこんだのが、フーコーです。恋愛は異性間だけでなく同性愛者の友情にも切り込みます。「社会の規範」がキーとなっていて、権力に支配されない友情について語ります。そんな関係を表す漫画として「青のフラッグ」が紹介されていました。

 

それまでの伝統的な友情論は、「自立した人間同士」という関係が前提となっていました。じゃあ、友達に依存しちゃいけない?という視点で切り込んだのがマッキンタイヤです。漫画「タコピーの現在」が紹介されていました。

 

まあ、哲学なのでちょいと小難しい面もありますが、本書は哲学系にしては比較的わかりやすい本でした。

 

おそらく本書の構成がわかりやすくまとまっているからではないか、と思います。7つの章が関連性ともってつながっていて、キーとなる話が何度も繰り返されるような構成です。

 

また、漫画の一部を切り取って掲載しており、紹介された漫画を知らない私でも、哲学者たちが語る友情というものをイメージする助けがあることもいいですね。

 

ここに紹介されている友情の形は、どれが正しいというものではなく、様々なスタイルが存在することを想定させてくれる枠組みではないかと思います。

 

なお、プロローグとエピローグで紹介されていた漫画は「ONE PIECE」でした(^^)