48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜ブッダという男―初期仏典を読みとく

 

今回の課題図書はこちら。「ブッダという男ー初期仏典を読みとく」です。

 

推定ですが、世界に広がる宗教の人口ランキングはWikipediaによると

1位 キリスト教 約24億人

2位 イスラム教 約19億人

3位 無宗教 約12億人

4位 ヒンズー教 約12億人

5位 仏教 約5億人

だそうです。

(出典:List of religious populations - Wikipedia

 

意外と人数が少ないとは言え、世界で5番目に多い信者がいるわけで、その始祖であるブッダという人物像は、多くの人に影響を与えます。

 

日本では十三宗五十六派という言葉があり、宗教団体法設立前に公認された仏教宗派が56あったことに由来しています。現在の宗教団体法の元では、28宗派が公認されています。

 

その内訳はこちらに掲載されています。

www.echizenya.co.jp

 

ただ、公認された宗派からさらにいろいろと分派して多くの宗派が実質存在しています。(たとえば創価学会日蓮正宗の枠組みに入っています)

 

その詳しい内訳はこちらで見ることができます。

www.e-sougi.jp

 

我々の生活の中にも多くの仏教に起因する価値観や生活習慣があります。

 

そんな仏教を作ったブッダという人の研究はこれまで多くの人が携わってきたようです。

 

ブッダは本当に差別を否定し万人の平等を唱えた平和主義者だったのか?」

 

こんな衝撃的な投げかけがカバーページに掲載されています。

 

そして著者は様々な視点と考察から、「これらのブッダ像は、”現代人の価値観に合わせるように作られたものである”」とバッサリ切り捨てています。

 

著者清水氏のX(旧ツイッター)でもこのような掲載が見られます。

ロヒンギャ虐殺に加担した仏教テロリストもいるが、彼らは仏典解釈(殺業を犯しても善業で打ち消せる)は歴史から見ればむしろ正統的なものだ」

 

現在の価値観と、2500年前のインドの価値観とでは全く違うわけで、当時当たり前だったことが反映されていてもおかしくはない、という指摘は確かにもっとも。

 

これまで当たり前と感じていたことに疑問をなげかけるきっかけを与えてくれました。確かにこれまでのブッダ像って、なんとなく「すごい人」くらいしかイメージがなかった、いや言い換えれば大きな関心がなく、なんとなく空気にのっかっていた、といったほうが正しいかもしれません。

 

仏教は殺生を認めていない、という認識ですが、戦争は認めています。

 

仏教は差別をしない、という認識ですが、仏教徒以外は不可触賤民として殺しても構わない、としています。

 

仏教は平等を尊ぶ、という認識ですが、女性蔑視は当たり前でした。

 

イスラム原理主義によるテロのニュースをTVなどで目にすることがありますが、仏教原理主義にたつと、実は同じようなことが起こってもおかしくないのかもしれません。

 

さきほどリンクした清水氏のXの投稿で触れたロヒンギャの虐殺は、その一例かもしれません。

 

仏教だけでなく、キリスト教イスラム教も始祖は、ブッダであり、イエス・キリストであり、ムハンマドであり、それぞれ1人だったはずですが、今はどの宗教も数え切れないくらい宗派に分かれています。

 

政治や統治に利用するために都合のいい解釈をしてきたこともあるでしょうし、時代や地域文化の違いによってまたそれぞれに都合のいい解釈が出てきた面もあるでしょう。

 

それはそれで価値観の多様性の一端を表しているようにも感じます。

 

本書は、著者いわく「仏教の初心者向けに」ということですが、なかなか読むのは大変でした(^^)著者の深い研究を限られたペース数に収めるためには、やむを得ないのかもしれません。

 

ただ、かいつまんだ程度の理解でしたが、視点や論点の発展のさせかたはどれも迫力を感じます。著者、渾身の一冊ではないか、と。

 

 

 

 

ところで、本文とは関係ないのですが、本書のあとがきに衝撃的なことが書かれていました。

 

著者は、様々な考察をつうじて自身の研究成果を本書で紹介してくれていますが、その過程でそれまで仏教界の重鎮たちでさえも容赦なく批判をするところがあります。

 

研究において、異なる学説をぶつけ合うことはとても有意義であり、その上に立った批判という行動は、健全なる研究活動の一環のはず。

 

ところが、本書の前に出版しようとした書籍の内容が、ある学者(本書では実名で登場しています)を批判している内容を含んでいた所、この学者及び関係者から出版妨害、教授になりたければ出版を諦めろといった脅迫があったそうです。

 

www.daizoshuppan.jp

 

https://hu.repo.nii.ac.jp/record/1313/files/004_100_24.pdf

 

学術研究を勘違いしている人物が少なからずいるようで、残念な話です。。。