最近17年セミがアメリカで大量発生している、とニュースで目にすることがしばしばあります。
この17年セミ、名前の通り「17年ごとに発生するセミ」のことをいいます。
17年ごとに発生するので「周期セミ」というくくりになっているそうです。
卵から孵化してすぐに地面に潜り木の根から汁を吸って幼虫期をすごし、17年あるいは13年経ってから成虫に羽化、そして普通のせみのように2週間前後しか寿命がなく、交尾をしてすぐに死んでしまうらしい。
周期セミは、17年セミと13年セミと2種類あり、理論上17年セミは17種類、13年セミは13種類存在します。
Wikipediaによると、17年セミは15種類、13年セミは3種類が現存しているようで、ほかは絶滅したんだとか。
発生の規模には大小の違いがあって、17年セミでは今年発生したブルードXというタイプが最も規模が大きいためこのようなニュースになったようですね。
(画像:YoutubeチャンネルTBS NEWSより引用)
この周期セミ、なんといってもなんで17年なんだろう、というところが不思議なポイント。
17って、数学の言葉で「素数」と言われる数字です。
素数というのは、1とその数字以外の数字で割ることができない数字のことをいいます。
2、3、5、7は素数ですね。
間にある4は2で割り切れますし、6は2と3で割り切れるので素数ではありません。
数学では立派な研究対象になる分野ですが、我々にとっては正直どうでもいいや、みたいな性質ですね。(^^)
なんで17年周期なのか、という理由についてはまだ諸説あるようですが、有力な説の1つは「発生周期の短い寄生虫と発生周期がかさならないため」という考え方があります。
たとえば2年周期の寄生虫だったら、2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34と2x17=34年経って初めてその周期が重なります。
3年周期なら3x17=51年ごと、4年周期なら4x17=68年ごと、です。
なんとなくのイメージですが、素数って他の数字に影響を受けにくい数字、という感じでしょうか。(^^)
この素数、今我々の身近なところでは公開鍵暗号のシステムで使われています。
メールとかで暗号がかかって相手に伝えるので途中でハッキングされにくい、なんて話を聞いたことがあるかもしれません。
例えば暗号が2つの数字の掛け算で構成されていてその2つの数字が鍵、というシステムだとしましょう。
8という数字だったら2x4=8、1x8=8なので、1と8あるいは2と4の組み合わせが鍵になりそうです。
20という数字だったら、1x20、2x10、4x5の3通りがありますね。
このようにある数字を2つの数字に分解して鍵をさがすわけです。
2、3、5と順番に小さい素数で割って割り切れたらどんどん計算が楽になっていきます。
20だったら、2で割って10、2で割って5、これでおしまい、みたいに。
ところが19という素数だったら、2でも割ってもだめ、3で割ってもだめ、5で割ってもだめ、7で割ってもだめ、11で割ってもだめ、13で割ってもだめ、17で割ってもだめ、あ〜19か、と時間がかかりますね。
これが19x23=437という数字だったら、今のパターンをさらにもう1回やるのでもっと時間がかかります。
すなわち素数と素数をかけ合わせた数字を分解するのには、かけ合わせた2つの素数を知っていればすぐだけど知らないと時間がかかるということがわかります。
かけ合わせた2つの素数を知っているというのは暗号の鍵を知っている人、すなわち身内の人。
かけ合わせた2つの素数を知らない人は暗号の鍵を知らない人、すなわち部外者となります。
白ごまと黒ごまが別々になっていれば区別できますが、まぜちゃうと区別するのって大変ですよね。
乱暴なたとえですが(笑)
以前こちらで紹介させていただいた「フェルマーの最終定理」では、数学の歴史を紹介する中で素数について語られています。ご参考まで(^^)