今回読んだのはこちら。
以前同じ著者の本を読んで、この著者に興味をもち、代表作と言われる本作品を読むことにしました。
期待に違わない素敵な本でした。
まず著者の森林に対する愛が半端ない!
1つ1つの木や草花にはそれぞれ感情があるんだ、という著者のくだりには最初ビックリします。
でも本作品の副題に「森林管理官が聴いた森の声」とあるように、木と木は会話をするし、痛みを感じるし、感情があるし、生存競争が激しいし、嫌なこともあれば、嬉しいこともあるんだとか。
前に読んだ「後悔するイヌ・・・」では動物にも感情があることを主張していましたが、同様に植物にも感情があるんだ、ということを科学的視点と主観的な視点を織り交ぜて伝えてきます。
実際この本を読んでみて、植物も我々と同じような生き物として接することができるんじゃないか、と思ってしまいます。
元々日本は渡来人が大陸から来る前は、あらゆる自然に神様がいるという信仰をもっていて、我々が子供の頃にその名残のようなことがらに接することがあったと思います。
植物を大切にしよう、動物を大切にしよう、川を大切にしよう、山を大切にしよう、海を大切にしよう・・・
この本を読んで、ちょうど1年くらい前にNHKで再放送されたドキュメンタリー「明治神宮 不思議の森」という番組を思い出しました。
明治神宮は、プロジェクトの中心となっていた3人の教授たちが「今後人の手が一切入らないで、150年後に自然の森として成長すること」を目指して明治時代に作られた森です。
当初よりやや早く100年ほどで自然の森として完成したようです。
この人達も、木や植物、そしてそこをすみかとするいろいろな動物、昆虫、魚、鳥などの生き物、そして菌類にまで及び自然の持つエネルギーと「生き物としての育み」を知っていた、という点で、本書の著者ととても重なるものを感じます。
そして私は木を始め植物の”生活”について何一つ知らなかったんだ、ということを痛感しました。
きのこのような菌糸類、木に住む昆虫類、葉や実を食べる動物や鳥、そういった生き物たちと時には共存し、時にはバトルをし、同じ木同士でも生存競争を生き抜くために、じっと耐えたり、一気に成長したり、そして親子関係があり、近隣で協力し合ったりと、およそ自分がまったく持ち合わせていなかった木の”生き様”をこの本は教えてくれます。
我がハウスでカイガラムシにたくさんの汁を吸われているコーヒーの木が、かわいそうになって、先日カイガラムシ除去の掃除をしちゃいました(^^)
著者のいるドイツでは平地に森があるので、気軽に森へ行くことができるそうです。
日本は山岳地帯が多いため、森に入るには山に登る必要があります。
ドイツと日本ではこのように地形も湿度も温度も違うので森の姿は異なりますが、なにか声が聞こえないか(^^)耳をすませてみようと思います。