最近ビデオの定期的な予約番組に新しく加わったのが、NHK BSで放送されている「FRONTIERS〜その先に見える世界」という番組。
(画像:NHKホームページより引用)
たまたま「西之島」を扱ったときの放送をみて、「これは面白そうだ」と思って予約録画を設定したもの。
その時のテーマに沿った最新研究情報を、研究者の生の声を聴きながらわかりやすく示してくれる番組です。
テーマは多肢にわたっており、特に何かにこだわっているわけではなさそう。
オダギリジョーがナレーターをしているのですが、かなりの多くが研究者たちの生の声で日本語字幕でその内容を把握する、という、ちょっとした外国のドキュメンタリーをみているような演出がされています。
先日放映されていたのがこちら。
(画像:NHKホームページより引用)
恐竜は2億5千年ほど前の三畳紀という時代あたりから登場してくるらしいのですが、当時は恐竜とは別の大型の動物がいて、恐竜は小型で捕食される側だったらしいです。
(画像:福井県立恐竜博物館ホームページより引用)
いつしか恐竜は地球を支配する存在となるのですが、なぜそういう変化になったのかはずっと謎だったそうです。
それが数十年前に発表され当時は見向きもされなかったイギリスの研究論文が、イタリアの研究者によって見直され、今では恐竜の進化史においては不可欠な説となっているらしい。
三畳紀の時代、世界の大陸はパンゲア大陸といって一つにまとまっていたといいます。そしてかなり乾燥した時代で、その大陸のかなりの部分が砂漠で覆われていました。
その次代の恐竜は発掘調査から、大陸の南側のみに居住していて、その北側にある砂漠帯に阻まれて北へ移動できなかったらしい。
そんな恐竜たちはその後”突然”全大陸に勢力を伸ばします。
なぜか・・・
三畳紀の地層は含まれている鉄分が酸化しやすいため、赤い地層であることが多いようなのですが、そこになぜか緑色の地層があることをイギリスの研究者が発見。
調査を進めるとどうもこの緑色の地層が形成された時代は約2億3400万年前から約2億3200万年前まで200万年継続しており、かなり湿潤化、つまり大雨にさらされた時代だったのではないか、と主張します。
この時代はカーニアンと呼ばれていたことから、この200万年の間に起きた湿潤化は「Carnian Pluvial Event(カーニアン多雨事象)」通称”CPE”と命名されます。
しかし当時の研究者たちは「そんなことはありえない」と全然相手にしてくれませんでした。
ところが20年以上もたってイタリアの研究者による発見が、事態を一変させます。
イタリアにある三畳紀の地層から琥珀が発見されます。琥珀は木の樹液が固まったもの。木の樹液があるということは、大量の木があることであり、木が育つだけの十分な水分がある、という証拠にもなりうる、という見方ができます。
へ〜、とテレビ見ながら感心しちゃいました^^;;
では、なぜ突然水分が増えたのか。
その理由として海底火山の爆発が有力とされています。日本の面積の10倍くらいの広さに厚さ2キロメートルのマグマがたまるくらいの爆発が起こったことが、その後の発掘調査が確実視されつつあり、そんな大規模の火山爆発によって大気中の二酸化炭素が一気に増え、温暖化が起こり、海水が蒸発して大雨になったというメカニズムです。
これによって、砂漠に植物が育って砂漠帯が小さくなり、南側にいた恐竜が北側へ移動できるようになったと学者はみています。
そして背の高い針葉樹林が増えたことで、その葉を食べるのに適用するように大型化が進み始めたともみています。
では、恐竜が主流になったのはなぜか。その理由の一つが脚の構造にあるんだとか。
つまり、恐竜は今の馬のようにつま先立ちしていて走るのが早かったようです。なので火山の大爆発のような自然災害があっても逃げられる能力が高く生き残ったのではないか、と。
研究者たちの生の証言を通じて、こういった学説がただの解説ではなく、学者たちが熱意を持って語ってくるのは、なかなか迫力があります。
当時これだけの大きな変化をもたらした要因の一つが火山の大爆発で大量の二酸化炭素が発生したそうですが、現在の二酸化炭素の増加ぶりは当時の20倍以上あるそうです。
地球の気候変動は長い時間をかけておこります。地球上から氷が消えた時期もありますからね。問題はその変化の早さ。ここ数十年でおきている猛暑の増大、暴風雨の巨大化などに自分たちがついていければいいのですが。。。
研究活動は、直接なにか利益をもたらすという活動ではないのですが、こういった今やこれからの自分たちの活動に対する示唆を与えてくれるなぁ、とその大切さに気づかせてくれる番組ですね。