(画像:NHKアーカイブスより引用)
年明けの再放送含めてNHKで「超・進化論」という番組が放送されていました。
3回に分けて構成されています。
(1)植物からのメッセージ〜地球を彩る驚異の世界
(2)愛(いと)しき昆虫たち〜最強の適応力
(3)すべては微生物から始まった
どれも大変興味深い内容でした。
(1)植物からのメッセージ〜地球を彩る驚異の世界
地球上の生き物の総重量は470ギガトン(1ギガトンは10億トンです)。人間、動物、微生物をあわせてもわずかその4.5%にしかならず、残りはすべて植物、という驚きのデータから始まります。
以前このブログで植物の驚くべき実態を紹介した番組「グリーンプラネット」についてご紹介しました。
そこでは、植物はとてつもない競争社会にあり、そこでいかに生き残るかという戦略を長年続けてきたことが語られています。
ところが今回は「競争」だけでなく「助け合っている」という行動が明らかになったといいます。
なんと、植物も「会話」しているんですね。
虫に自分の葉が食べられると、体内で虫にとって毒となる成分を分泌するのですが、なんと隣に生えている植物も同じように体内で毒物を分泌し始めるといいます。すなわち、危険がきたことを「知らせて」いるんですね。
また自分の葉を食べている虫にとっての天敵となる虫や鳥にその知らせを送っていることがわかったそうです!
なんと、植物が「おしゃべり」しているんです。
また森の中で、高い木に太陽の光を遮られた低木は、大きな木の根っこに生息している菌糸を通じて養分をうけているため、枯れることなく育っていくんだとか。
植物は植物同士、虫、鳥などと「共生」することでこの地球で生き抜いてきたというメカニズムがこの番組で紹介されています。
これはかなりの驚き。
(2)愛(いと)しき昆虫たち〜最強の適応力
こちらのデータは、地球全体の生き物は200万種いると言われていて、人間はホモサピエンスという1種、哺乳類は6,000種、植物は40万種、そして昆虫はそれを遥かに凌駕する100万種、すなわち全生き物の半分が昆虫、というもの。
そのキーワードは「多様性と適応力」。
まず「飛ぶ能力」。虫はこの地球上で一番最初に空を飛んだ生き物なんだそうです。しかも鳥とは全く異なるメカニズム
次に「完全変態」。幼虫、さなぎ、成虫と形を変えていく成長のしかた。
これらが昆虫があらゆる環境でも生き残っていく力をもたらしたという内容です。
(3)すべては微生物から始まった
最後の3つ目は微生物。
生物の進化には微生物なくしてあり得なかった、それどころか、我々人類含めて実は微生物にコントロールされているかもしれない、というもの。
最近ではビフィズス菌に代表される腸内細菌によって少し身近になってきたかもしれません。
生物が生きていく上で、微生物はなくてはならない存在で、微生物の取り込みによって進化が進んだといっても過言ではないんですね。
いわゆる「共生」です。
上手に付き合うことで進化していくことは可能ですが、逆に微生物に支配されるリスクもあるといいます。微生物自身が生き残るために、宿っている主である生き物をコントロールすることもあることがこの番組でも紹介されています。
堺雅人さん、西田敏行さんらが番組を進行して特に知識がなくてもわかりやすくまとめてくれたいい番組です。
NHKでオンデマンドで見ることができると思います。
このシリーズを見ると、本来生き物の繁栄は「競争で打ち勝つ」ことも必要でありつつも、根底にあるのは「共生」なんじゃないかな、と感じました。
とある映画で「Greed is good」(強欲は善だ)というセリフがあり、一斉を風靡したことがあります。
当時から違和感を感じていましたが、この番組を見るとその違和感はますます強くなります。