48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜「江副浩正」

 

江副浩正

江副浩正

 

 

どんな本?

本日の読書会の課題図書は「江副浩正」。今や多くの起業家を排出する企業としても名高いリクルート社を一代で立ち上げた起業家の人生を、元リクルート社員であった2人の著者が綴ったものです。

 

多くの方々への取材を丁寧に行ってきたであろうことは、本書493ページに及ぶ内容で容易に察しがつきます。

 

本書は孫正義氏、大前研一氏らの、いかに江副氏が稀代の起業家であったかというコメントから始まり、第一章で江副氏が東京駅ホームで倒れて病院搬送後亡くなる、といういわゆる回想シーンから始まります。

 

第2章から江副氏が生まれた生い立ちに触れ、以降、学生時代、起業、成長、リクルート事件、再起への挑戦、晩年と綴られていきます。

 

話の流れ上、章と章とで時間が戻ったり重なったりしますが、概ね時間軸とともに話は進んでいきます。

 

「なぜ江副浩正氏がリクルートをここまで育てられたのか」というよりは、「江副浩正という人の人間性」に焦点を当てた伝記のような印象を持ちました。

 

ここをおさえたい

この本を読むと江副氏が決して聖人であったわけではないことが伝わります。そして江副氏個人が「成功したのか」という問いかけに対して、必ずしも「YES」と言い難い人生を送られたことも伝わります。

 

リクルートという会社は今や日本を代表する大企業の1つであり、また多くの起業家やリーダーを排出している企業としても名が知られています。

 

リクルートという会社という視点でみれば、リクルート事件ダイエーからの支援受諾という苦難を通じて、現時点では「成功している」会社といえるかもしれません。

 

しかし江副氏本人は、成長とともに傲慢になったり、株にのめり込んで借金を背負い所有株を手放さければならなくなったり、離婚したり、そして有名なリクルート事件で長きに渡って裁判にたずさわり、最後は執行猶予付きとはいえ有罪判決。

 

簡単に「成功者」と祭り上げるには抵抗を感じます。それだからこそ、行動力や考え方、人付き合いなど傑出した面が引き立ちます。そんな人間性に目を向けると様々な発見や気付きがあると思います。

 

もう一つ、時代背景もおさえておきたいところです。

 

 リクルートの前身である「大学新聞広告社」をおこした1960年。世は日米安保条約批准をめぐって学生運動が活発だったころ。現在の安倍晋三首相の祖父である岸信介首相がおり、池田勇人首相による所得倍増計画から佐藤栄作首相長期安定政権によって日本経済が成長期に入るころです。

 

田中角栄首相による日本列島改造論をベースに不動産事業も大きく成長。

 

1985年のプラザ合意によって急激な円高、そしてバブル経済リクルート事件

 

ぐんぐん右肩上がりだった日本経済とともにリクルートが成長。バブル全盛時にリクルート事件、そしてバブル崩壊から失われた20年と言われる経済低迷時代。そんな時代背景を意識しながら読むと感じるところがあるのではないかと思うのです。

 

これから

今の自分に江副氏と同じことをする勇気はありませんが、私にとって学ぶべきところは「行動力」と「人との関わり方」でした。

 

「経営は実践である」という言葉が本書に登場してきます。考えるだけで結論を出さず、行動してみてその後を決める、乱暴な言い方をするとそんな姿勢を感じます。

 

事前にいろいろ考えることはとても大切なことですが、考えるだけで結論を出して良いものか、は自問する必要性を感じます。

 

そして「人との関わり方」。人を大切にする姿は本書でたくさん紹介されています。著者はこの面は強調したかった一面だったのではないかと思います。

 

確かに多くの著名な方々とつながってはいます。でも社員の名前や家族構成を意識して覚えようとしたり、社内で声を積極的にかけたり、気にかけたり。

 

相手から何かを得たいから、という下心ではなく、相手に何かをしたいという気持ちが先にでている印象を持ちました。普段私もそうありたいと心がけていることもあり、共感できる一面です。

 

いろいろな面で多くの人がもっている一面を持ちながら、きらっと突き抜けた能力あるいは努力で一大事業をなしえたこの生き方、思うところがいろいろあるし、本という形で残してくれたのはありがたいな、と感じます。

 

江副浩正