今回の読書会の課題図書はこちら。
「人類は存続すべきか、滅亡すべきか」、そんなお題を魔王は人類から10人の人間を選んで議論をさせます。
その議論の結果に基づいて魔王は行動するという。
ただし、その結論は理を伴わない限り無効とする、というルールがついている。
つまり、理論的に結論を導いてくれれば、それに魔王は従うよ、といっているのです。
この本は、その議論の過程と議論の後の魔王との会話を通じて、「反出生主義」について”紹介”をしている本です。
著者はデイヴィット。べネターが2006年に出版した「Better Never to Have Been: The Harm of Coming into Existence 邦題”生まれてこなかったほうが良かったー存在していしまうことの害悪”)という本に出会ったことが、反出生主義との出会いだったとあとがきで語っています。
反出生主義とは「人々は子供をもつことは不道徳という信念」と定義されています。(Wikipediaより)
一見”馬鹿げた”信念と感じますが、この本を読んでみると、その信念なりの根拠というものがあることがわかります。
選ばれた10人の中で、「人類滅亡」に”賛成”する人は、反出生主義者である1人と、悲観主義者の1人で2人、「人類滅亡」に”反対”する人は5人、”保留”が3人、というところから議論がスタートします。
”賛成””反対”はわかるけど”保留”ってなんじゃい、と思いますね(笑)
議論は、反出生主義者の理論的な主張でかなりかき回されます。
このかき回される感じがこの本の面白いところなんだと思います。
自分の生きる意味、行動する意味ということを考える上で、柱の1つになりうる観点かもしれません。
著者があとがきにてこうまとめています。
ーー食い違う主張について「どちらが正しいのか」ではなく「異なる種類の”正しさ”がそれぞれどんな水準で成立しているのか」を考えることをおすすめします。ーー
私も初めて聞きました、「反出生主義」。
考えたこともなかった(笑)
どこか違和感を感じながら、どこかなにか筋も感じる、そんななんともいえないあやふやな気分にさせられる議論展開かもしれません。