48歳からの挑戦

47歳で脱サラ、48歳で起業したおじさんの奮闘ぶりをご紹介しています

読書会〜働き手不足1100万人

 

今回の課題図書はこちら。

 

リクルート研究所のメンバーが複数人でまとめたものです。

 

一昔前は経済成長に伴って人手が不足していたが、これからの日本は「少子」と「高齢化」のダブル現象によって、働き手は必要だがなり手がいないという状態がどんどん進んでいくという問題を提起し、それにどう今取り組んでいるのか、今後どんな策があるのか、といった社会問題に向き合った著書です。

 

本書は

1 現在の少子高齢化が進むと2040年には1100万人の労働力不足状態に陥る恐れがある、というシュミレーションについて

 

2 そのシュミレーションの結果、どういうことが起きる恐れがあるか、そして現在現実に起きている状況について

 

3 そういった課題に対する打ち手

 

と大きく3つの内容で構成されています。

 

世界では高い失業率は「移民に仕事を奪われているから」といって移民排斥など極右勢力が力を持ち始めています。

 

一方日本は失業率は低いし、女性の社会参加率も比較的高いという状況にありながら、少子化と老人の増加によって働き手が足りなくなるという、世界で例を見ない状況に直面しているわけです。

 

働き手を「補充」するという観点では、「シニア」「女性」「移民」が三種の神器(著者の表現)ですが、問題はそう簡単ではない、という。

 

「シニア」は就業率は世界でダントツだし、若い人のように動けるわけではない。

 

「女性」も就業率は高いけど、あえて非正規雇用を選んで短時間労働を選ぶ傾向が強い。

 

「移民」は世界を見ても明らかなように、簡単に受け入れればいいというものではない。

 

じゃあ、どうしたらいい?

 

本書は4つの打ち手を提案しています。

1 機械化・自動化の促進

2 ワーキッシュアクトという選択

3 シニアの小さな活動

4 企業の無駄改革とサポート

 

内容の詳細は本書に任せます。とてもわかり易く説明してくれていますので、ぜひ一読してみてください。

 

この中で「ワーキッシュアクト」という聞き慣れない言葉があります。

 

「本業の労働・仕事以外でなんらかの報酬を得るために、誰かの何かを担う性質がある活動」のことをいうそうです。

 

仕事を表すWorkに「それっぽい」を意味する-ishがくっつき、活動を意味するactがつながって「ワーキッシュアクト」。

 

ちょっと乱暴にいえば、「小さな副業を1つ、ないしは複数もっている」状態ですね。

 

この本をみて、今の自分はまさにこの「ワーキッシュアクト」をやっているのかもしれない、と感じました。

 

仕事は生活するための手段でもあるのですが、大事な自分の時間をつかうわけだから、「せめて誰かの役に立ちたい」という欲求はあり、その欲求を満たしながら報酬をいただけるというスタンスが、まさにぴったりなんです。

 

この本でも述べられていますが、「やりたいことをやって、結果的に誰かの役に立てている」というスタイルが、多くの人がかかわれて、なおかつ活動を継続できる大切な要素だと思います。

 

 

 

本書では、絵に描いた餅ではなく、すでに現実に芽がでている活動もたくさん紹介してくれています。

 

最近ファミレスなどで見かける配膳ロボット、厨房で料理するパスタロボット、無人コンビニ、無人タクシーなどは、技術によって省人化を実現しているいい例ですね。

 

半導体工場などは、ほとんど機械だけで製品が作られています。

 

シニアクラブに代表されるシニアの人たちよる清掃などのお仕事だけでなく、通学路の安全確保や施設のお手伝いなど、ちょっとしたシニアの活動が若い人たちの助けになることがたくさん紹介されています。

 

企業においては副業、リモートワーク(ワーキッシュアクトの参加率と強い相関があるようです)の導入や、社内ワークフローの自動化などで、「社員が使いたいことに時間を使えるよう」な環境を作っていくことがいろいろと提言されています。

 

「今座して危機を迎える」のか「今からできることをやっていく」のか、選択が迫られています。

 

個人、企業、行政とあらゆるところが「少ない人数でもサービスを提供できる」インフラを作っていく必要があることを、わかりやすく解説してくれています。

 

私は個人的に「打ち手」に加えたいのが「予防医療」です。

 

予防医療に対して保険を適応させ、安価に病気予防ができるようにすること。

 

これによって平均寿命が伸びてかえって介護現場が逼迫する懸念をもたれるかもしれませんが、私は「元気なシニア」が増えることで、シニアの小さな活動が労働を供給し、病人が減ることで医療・介護の現場は逆に助かる方向になるのではないか、と思います。

 

本書を通じて視野を広げてもらった気がします。