先日ハウスメイトから「サピエンス全史って知ってる?」と聞かれました。
1年半ほど前に読書会の課題図書で読んでいたので「本読んだよ(^^)」と。
「正月にBSでその番組やっていたので録画したよ」とハウスメイト。
どんな番組だったのか興味が出たので見てみました。
NHKドキュメンタリー - BS1スペシャル▽“衝撃の書”が語る人類の未来~サピエンス全史/ホモ・デウス
著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏とジャーナリストの池上彰氏が対談する形式で1時間の番組編成です。
実はこの後一旦休憩が入ってユヴァル氏の新著「ホモ・デウス」についても更に1時間番組が続いています。
こちらはまだ見ていません(^^)
たった1時間の番組ですがよく内容がまとまっていました。
正直本を読まなくても番組をみることでこの本の要約は理解できそうです(^^)
そして私の読み方は相変わらず表面的だったなぁと恥ずかしさが出る一方、この本が言わんとしていることは未来についてどう取り組むのか、改めて問われている気持ちになりました。
ユヴァル氏によると、ホモ・サピエンスの最大の特徴は「フィクション(虚構)」を作り上げたことにあります。
ネアンデルタール人が目の前で起きていることしか理解できなかったのに対し、ホモ・サピエンスは空想することができ、それにより「団体」を作れるようになったというのです。
このフィクションによって、神が作られ絶対的な存在と位置づけることで団体としてまとまることを覚えます。
これが「認知革命」。
そしてホモ・サピエンスは農業を覚えます。
番組でユヴァル氏が言っていたのを聞いて「あ〜本に書いてあったなぁ」と思い出したのが、「人間が小麦の家畜となった」というもの。
なんのことか?
人間が動植物を育てることに1日の大半を費やすことになったことを言っています。
本来動植物は限られたところで生を営んでいたのに、人間がわざわざ場所を作りせっせと労力を注ぎ育てるようになったので、動植物の生態領域は拡大し、そして奉仕してもらうようになったのです。
これがユヴァル氏のいう「農業革命」です。
進化によって知能があがり、動植物を育てることを知り、裕福になっていったというのがこれまでの農業革命の見方でしたが、ユヴァル氏は全く逆の視点です。
狩猟生活時代の方が刺激的で自分たちの自由がきき豊かであったのに、農業をするようになって農作物に支配され、一部のエリート層の飽食を満たすために一生を注ぐ家畜となってしまったのが農業革命であり、「史上最大の詐欺」とまで断じています。
狩猟時代にはなかった貧富の差がここから生まれ、エリート層によって国家というものが生まれ、欲を満たすために争いが起こるようになります。
そして富を増やす便利な道具が「技術」だったわけです。
これが「科学革命」。
富はどんどんと大きくなっていきます。
そしてフィクションが生んだ最大のシステムの一つ「通貨」がモノでなく「通貨」によって膨れ上がる仕組みができあがり、益々貧富の差が広がっていきます。
ユヴァル氏の番組での発言で印象深かった表現がいくつかあります。
「資本主義は世界を征服した唯一の宗教である」
「本の中で私が問いかけているのは『幸福』という哲学的な問題です」
「殆どの歴史書は国家がどれだけ権力を得たかについてだけ書かれていて『幸福』という問題を軽視してきた」
「人間は権力を大きくするのは得意ですがそれを幸福に替えることは得意ではない」
「現代人は石器時代よりはるかに大きな力があるにもかかわらず、比べてそれほど幸福になっているようには見えない」
「今人間は自らを動物から神へとアップグレードしているところ」
私の浅はかな脳では思いもつかない発想や視点。
そしてユヴァル氏の使命感がこちら。
「歴史家としての私の努めは世界的な問題の答えを出すべく(中略)グローバルな視点に立って歴史を詳しく示すこと」
ただこれまで起きたことを時系列に並べるだけでなく、経済や宗教、文化といったあらゆる視点から、起きたことはどういう意味合いを持っているのかを示してくれています。
あ〜頭の出来が違うなぁ〜(^^)
と嘆いている暇があったらもう一度読み直してみるか・・・