今週の読書はこちら。ビブリア古書堂の事件手帖シリーズで今回は4冊目。
いつもは3つから4つの短編で構成されていますが、今回はなんと丸々1冊の長編。
章は3つに分かれていてそれぞれの章にキーとなる本が紹介されています。
本巻は江戸川乱歩。
ビブリア古書堂の店主篠川栞子の元に1人の女性がやってきて、「古書にまつわる謎を解いてほしい。もし解決してくれれば所有している蔵書をまとめてビブリア古書堂さんにお売りしましょう」というオファーがきます。
所有している蔵書は江戸川乱歩の作品コレクション。貴重な初版本や雑誌も含めほぼ全作品が揃っているという逸品の数々。
良書の入手が古本屋にとって生命線であることから、このオファーはかなり美味しいもの。しかし、いろいろと込み入った状況がありそうです。
今回の依頼者はとある資産家の愛人とその妹。
その資産家の家族と愛人との微妙な関係、資産家の父親の代から資産を築き上げるまでのヒストリー、それに江戸川乱歩の作品がからんできて、ミステリー度合いをぐっとあげられています。
そして、栞子と妹文香をおいて家をでて10年も所在不明だった母親篠川智恵子がついに登場します。
栞子を凌ぐ古書の知識と洞察力をもって古書にまつわる謎解きを数多く解決しながらも、ビジネスに徹して人を騙すこともいとわないという冷徹なビジネスパーソンの一面ものぞかせる母智恵子。
その母親が今回の謎解きにからんで登場します。
さらに店主栞子に密かに思いをよせる主人公五浦大輔と栞子の関係にも変化が。
古書にまつわるトレビアを軸に、謎解きのミステリー、篠川母娘にみられる親子の確執、五浦大輔と栞子との間に流れる微妙な恋愛の空気がからんで、味わい深さがますますでてきています。
日本の推理小説といえば明智小五郎と金田一耕助。明智小五郎を生んだ江戸川乱歩と金田一耕助を生んだ横溝正史が竹馬の友の関係だったことを、遅まきながらこの本を読んで知りました^^;;
丁寧な調査した内容をベースに作者がつくりあげているように見え、栞子さんの解説を通じて紹介されるトリビアにいちいち感心しながら読んでいます。
全7巻のシリーズも後半。次が楽しみです(^^)