今回の読書会はこちら。
新卒でNPOに就職し、学生時代よく訪れたウガンダへ赴任し支援活動を担うことになりますが、そこで”支援”の意味について考え直すことに。
食料を”与える”のではなく、食料を”自分で育てる方法”を伝えるプロジェクトを立ち上げ奮闘します。
ウガンダという国を内側から見つめ、人々が何を大切にし何に心を動かされるかと著者の目線で語っています。
そこには”援助”という名目で諸外国がいろいろな形で介入してきたことにはもちろん現地の役に立っていることもありますが、同時に弊害ももたらしていることを、現地の人との交流を通じて作者は伝えています。
誤解を恐れずにいえば、諸外国によって”毒され”てしまったところがあり、我々日本人の感覚では受け入れられないようなことが日常茶飯事。
でも根は働くことを厭わない誠実な内面を持ち合わせていることに気づき、試行錯誤しながら荒野に灌漑設備を導入して畑作ができる環境を、現地の人と作り上げていく様子は、なかなかのドキュメンタリーです(^^)
くしくもこの直前に「アフリカの地政学」という本を読んだばかり、2週続けてアフリカネタだったので、若干の予備知識をもってこの本を読むことができました。
この本の書き方というか文調、どこかで見たような気がします。
そう、あのバッタを倒しにアフリカまでいった前野ウルド浩太郎氏の描く世界と重なる感じがします。
舞台がアフリカであること、お二人とも若いこと、楽しもうとしていること、受け入れることができること、熱意があること・・・
探すといろいろな共通点が見えます。
なのでとても読みやすいし、内容にも惹きつけられます(^^)
それにしても、この著者の奮闘ぶりはすごいですね。
自分が23歳の時のことを思い出すと、なんともちゃらちゃらしていたなぁ、と赤面の至りです^^;;
バブル時代だったこともありますが、浮かれていたなぁ。
この本の「あとがき」にも書かれていましたが、このプロジェクトはまだほんの始まり。
ウガンダの人たちが安心して暮らせる環境を作るには難題が山積みなことを感じます。
それは単なる制度や仕組みではなく、人の心の問題だから。
信頼できることでないと人は心を開きません。
一方で、信頼はそう簡単には生まれないもの。そして簡単に失うものでもあります。
すなわち、様々な課題を解決するには時間を要するであろうことが想定されます。
人との関わりについて、本書は一石を投じているかもしれません。

